第90話 死すべき

 ラブホテルというのは、不思議とよく人が死ぬ。

 彼女も昔、客が死んで事情聴取を受けたことがあるそうだ。

 その話を、バイトの連中から聞いた。

 迷惑な話だ。

 人が死ぬと、嗅いだことも無いような臭いが廊下まで充満するのだそうだ。

 その部屋は1ヶ月以上売れないほどに臭いらしい、たった一晩で。


 まぬけな話だと思う。


 なにもラブホテルで死んで身内にまで恥をかかすことはないだろう。

 遺族がホテル代払うのだ、どんな気持ちだろうか…。


「色々、面倒くさかったよ」

 彼女は割と平気な顔で言っていたことを思い出しながら聞いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る