第51話 また…

「また…食事に行こうよ…」

 僕は返事できなかった。


 好きだから。

 だから…うんと言えないこともある。


 触れたい…その髪に、指に…唇に…。

 彼女の身体のすべては、僕のものだと…他の誰にも触らせたくない。


 でも…他の誰よりも、彼女はその身体を弄られる。


 僕は…彼女に触れることすら叶わぬというのに…。


 美しい…愛らしい…その顔は…身体は…僕のために…。

 僕より彼女を愛している男はいない。

 比べるべくもなく…僕が一番彼女を愛している。


 だから…触れない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る