君の声が囁いている

作者 赤坂 パトリシア

これはスーザン・ベネットというアメリカ人女性の物語なのかもしれない。

  • ★★★ Excellent!!!

この物語を読んだ時に僕は「スーザン・ベネット」の事を思い出しました。
スーザンはiPhone等Apple製品に組み込まれているAIアシスタント「Siri」の声を担当されたアメリカ人女性です。

現在、様々なIT企業が開発を進めるAIアシスタント、Appleの「Siri」、Googleの「Google Assistant」、Amazonの「Alexa」等々。
それらは「声」によって人の行動をサポートします。
そういった、機械に組み込まれた「声」が人をサポートし始めるようになった最初のケースと言われているのは、
1970年代半ばに導入されたATMの「ティリー」(銀行員=テラーをもじった名前)で、
ティリーは無機質な機械(ATM)を人々が拒絶しないよう短い歌を歌ったそうです。

それから時代は進み自動車に取り付けられたカーナビが人々をサポートし、
スマートフォンが今日の天気やメールの内容を読み上げてくれる時代になりました。
余談ですが、自動運転車を開発しているテスラモーターズのイーロン・マスクはAIの開発に規制を設ける事を推奨していて、
AI制御されたロボットたちがターミネーターの「スカイネット」のように人間に対して戦争を仕掛け終焉をもたらすだろう」と警告しています。

スーザン・ベネットの死後も彼女の「声」は世界の人々をサポートするでしょう。
現在、僕達が暮らしている時代は、まさに「ユートピア」と「ディストピア」への岐路の時代なのかもしれません。

この物語はそんな僕達が暮らす時代よりほんの少し未来の「コンスタンス」と「コニー(声)」、そして彼女たちのパートナーの物語です。
少しずつ僕達の生活に慣れ親しんでいくAI(人工知能)とその肌とも言える「声」の物語。
この物語を読んだ後に聴くSiriの「声」はどんな声ですか?




追記:「ティリー」に組み込まれた、短い歌を歌う声の持ち主は「スーザン・ベネット」です。
彼女は元々ミュージシャンで、たまたまスタジオに現れなかった声優の代役をした事がキッカケで、
以後、GPSの案内音声や航空会社の音声応答システムの声を担当し、Siriの声を務めます。
しかし、Appleはスーザン・ベネットがSiriの声の主である事を認めていません。

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