第25話

 小四の夏休みの自由研究で、私は鋳物について調べた。


 この街では昔、鋳物産業が盛んだった事。

 鋳物工場―もっと大昔は「細工場」と呼んだ―があちこちにあって、優秀な鋳物師がたくさんいた事。

 どの工場も火の神様としてお稲荷さんをまつっていた事。

 そして毎年三月、初午の祭りとして太鼓を打ち鳴らしていた事。


 この街がベッドタウンとして開発されるようになってから、鋳物工場はどんどん減少している事。

 それにともなって初午の祭りも近所から苦情が来るようになり、太鼓抜きの地味なものになりつつある事。


 工場をつぶした跡地には、マンションやスーパーが建てられている事。

 フォックスパレスがある場所にも、昔、大きな鋳物工場があった事。


 図書館の郷土資料室に通いつめて書いたその文章を、担任の先生はいたく褒めた。とりわけ「鋳物師の仕事について」の部分を気に入ってくれたらしく、クラスみんなの前で読み上げ、

「まるで見て来たみたいだ。」

 と笑った。

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