第6話

 なっちはすっかり忘れていた。

 夏祭りの前の日まで、タオルケットも蹴飛ばさずにはいられないような熱帯夜が、連日続いていた事を。

 一太の背中の熱をこんなにも快く感じてしまう、急激な気候の変化に対する違和感を。

 長屋の壁をなでる冷たい風が、全てを知っているような声で、ひゅう、と鳴いた。

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