第43話 魔導具店主は知り合いです
「さて、アヤト君。オスカーから魔法については習ったんだね。」
「は、はい。」
ネロさんから話しかけられるが、
答えに突っかかってしまう。
だって、眼光が鋭いんだもん。
恐い、恐い、恐い。
「私、怒ってるわけじゃないのにな……。
やっぱりこの眼のせいか……。」
と若干シュンとしているネロさん。
うっ、なんか罪悪感が。
そう考えると緊張が解けた。
「大丈夫ですよ、その目も含めてネロさんきれいですし。」
そうフォローする。
あれ?僕はなんでナンパ男みたいなことを言ってるんだろう?
なぜか複雑な気分に陥っていると、
急にネロさんが抱きついてきた。
「ありがと~。
や~、アヤト君はいい子ね~。
魔法研究バカのオスカー教授の息子にはもったいない。
気が利くし、優しいし、可愛いし。」
可愛いって言うなっ。僕は男だっ。そして放せっ。
彼女の腕の中でもがくと、
「ごめんなさいね。」
ようやく解放してくれた。
村でも昔そんな扱いを受けていて、
最近それも無くなってきたというのに、
勘弁してくれ。
「それで、魔法の話に戻すけど、
アヤト君は特性の解析はもうしたの?
魔力色は?」
……まりょくしょく?
僕は首をかしげる。
「オスカー教授?」
ネロさんが父を睨み、
父は目をそらす。
このやりとりは一体?
と思っていると、ネロさんが説明してくれた。
「アヤト君は、魔力については聞いた?」
「はい、波だと。」
「そう、それで魔力波特性については。」
「それも聞きました。」
「オッケー。
で、その魔力波特性を測る時なんだけど、
測定する道具は魔力波を光に変換して、
それで特性を調べるのね。
この変換された光はそれぞれの人の特性によって
いろんな色になるのよ。
これが魔力色。
例えば、オスカー教授は紫だし、フリッツは緑ね。
アヤト君は虹は知ってるかな?」
もちろん知っている。
発生原理も。
まあその原理は置いておいて、
知っていることを伝えると。
「なら話は早いね。
虹って外側の赤から内側の紫まで色があるでしょ。
普通は魔力色が紫に近づけば近づく程、
その人の持つ魔力のエネルギーは高くなると言われているんだよ。」
そばにある魔導具を見て、なでながら続ける。
「まあ、エネルギーが高ければいいって物でも無くて、
魔力色が紫に近いほど魔導具の動作が不安定になりやすいから、
その人用の魔導具の調整は難しかったりするんだけどね。
って四歳の子にここまで深く話すことは無かったか。」
「いやネロ、アヤトを見ればそうでも無いことがわかるぞ。」
「えっ?」
そうか、魔力波を光とするのか。
それなら、波長の短い紫にいく程
エネルギーが高くなるのも納得だ。
普通はということは、多分魔力波は振幅の違いでも
エネルギーに差が生じるということだろう。
それと、魔導具の動作特性も気になる。
ああ~、早く使ってみたいな~。
「これは、逸材だわ。
首をかしげるとか、固まるとかじゃ無くて、
こんな反応する子って。」
少々思案にふけっていた僕は、
その後、なにやら機嫌の良いネロさんに
店の魔導具をいろいろ紹介されるのであった。
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