第41話 公都の中を散策です4

「俺は今日は一日空いているのだが、

みんなはどうするんだ?」


「そうですね……

昨日みんなが行きたいと言ったところは結構バラバラでしたし、

二組ぐらいに別れて行動しましょうか。」


公都二日目の朝、宿の一階で朝食をとっていた僕たちは

行動計画を立てていた。


「それには賛成だがメアリーさん、どうやって別れる?」


「えーと、単純に男性チーム、女性チームで別れるのはどうでしょう?」


「まあ、それが順当だろうな。フリッツはなにか意見あるか?」


「いや、それでいい。」


ミレナさんも異論は無いみたいで、今日のスケジュールが決まっていく。


「それじゃあ、夕方五時にまたここに集合としましょう。」


こうして、僕たちは二手に別れて、都へと繰り出すのだった。


そういえば、ミリアちゃんがちょっと残念そうだったけどなんだったのかな?

……あっ、そうか、フリッツさんと一緒に回れなくて残念なのか。

ミリアちゃんって、意外とお父さんっ子なんだな。


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「さて、とりあえず広場まで出てきたはいいが、どうする?」


そう父に聞かれ、フリッツさんと僕は答える。


「俺は魔導具店に行きたいんだが、アヤト君がな……」


「僕もまどうぐてんに興味があるけど、年齢のこともあるし、

昨日は少ししか見られなかった職人街に行きたいかなと。」


「そうか、じゃあ魔導具店のことは置いておいて、

まずは職人街にいくか。」


そうして僕たちは広場から歩いて行く。

道中、


「アヤト、ミリアちゃんのことはどう思う?」


と笑みを浮かべた父が聞いてくる。


「まじ天……じゃなくて、(危ない、つい勢いで天使とか言いそうになった……)

えーと……、可愛いし、いろんなことに一生懸命だし、

身体強化とか僕より上手だし、恥ずかしがり屋だけど心の芯は強いし、

あとやっぱり可愛い(大事なことなので二回言いました。)。」


容姿もだけど、何かに取り組む姿がすごく可愛いと思う。

それに、去年ワーウルフに襲われたとき、

あんな状況だったのに自分の役割を果たしていて、

尊敬の念すら感じた程である。


そう答えると、


「ふ~ん、そうなのか~。

てっきり俺は、『好き。』とか

『将来、結婚したい。』とか言うと思ったんだけどな~。」


「なっ……」


僕の顔が思いっきり熱くなる。

顔から火花でも散ったのかというような感じがした。


「からかわないでよ、お父さん。」


そして精一杯抗議するも、


「ハッハッハ。」


と父は笑うだけだし、


「娘はやらんぞ。」


とフリッツさんはこっちを威嚇してるしで、

話にならない。


そんなこんなで、技術者の集う区画

職人街に到着するのであった。

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