第36話 今年の生徒は二人です3
それから、僕たち五人は雲一つ無い青空の下、昼食休憩をとることにした。
そういえば、みんなが昼食の準備を始める直前、
母がフリッツさんに雷を落としていた。
フリッツさんはそれこそ晴天の霹靂であるかのごとく、目を白黒させていた。
ミリアちゃんとか、魔導具とか聞こえてきたが、何だったんだろう。
まあ、首を突っ込まないのが吉である。
さて、今日の昼ご飯は…
サンドイッチだ。
この世界では食パンのように四角いパンは
まだ作られていないようで、このサンドイッチは丸いパンをスライスして作ってあるようだ。
では早速…
「「「「「いただきます。」」」」」
僕は片手で持つことの出来るサイズの
丸いサンドイッチにかぶりつく。
緑色の菜っ葉がシャキシャキとした歯ごたえを感じさせ、
続いて赤い果実のさわやかな酸味が口の中に広がる。
そこに、メインである鳥の肉の香ばしい風味が加わり、
口の中で絶妙なハーモニーが奏でられる。
「肉と野菜のアンサンブルや~!」
と、彦○呂さんみたいな感想が浮かんでしまう。
素材自体がおいしいのもさることながら、
それを活かすような、ちょうど良い分量を挟み、
また、おそらくわざと肉に少し焦げ目を入れることで、
風味の深さを増している。
母の作る料理はおいしいな~、と思いつつ、
次へ次へとどんどん手が伸びていき、
気がつけばバスケットの中が空っぽになっているのであった。
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昼食を終えた僕たちは……
お昼寝タイムに突入していた。
「お父さん、まほうのれんしゅうは?」
「ん?アヤト。
……ああ、実はな、今日教えることはもう無いんだ。」
「どうして?」
「同時強化は身体強化を複数やるだけのものなんだからな、
今までやっていた身体強化の練習方法で
二カ所に集める練習をすればいいだけの話だから教えることはもう無い。
魔力放出の方は、午後までかかると踏んでいたたんだがな、
おまえら午前でもうコツ掴んじまっただろ。
そうなったらもう後は毎日家で練習するだけだから、
こっちについても今日教えることは無くなった。」
「なるほど。」
「で、コツを掴んだのはいいが、
おまえらのやってた形、あれなんなんだ?
いや、ミリアちゃんの方はなんとなく分かるが……」
ったく、相変わらずフリッツは……
とつぶやく父。
「それはまあ置いておいて、
おまえの方だ。
一体あれは何の形をイメージしたんだ?」
「……えっと、……あいての方に指を差したら
そっちに飛んでくイメージがしやすいかなー、なんて?」
必死にでっち上げる僕に
半信半疑のまなざしを向けてくる父。
言えないでしょ。この世界に無い道具である銃をイメージしましただなんて。
僕はごまかすように、草の上に背中から寝転び、狸寝入りを始めるのであった。
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