第26話 子供達は見つからないです
「ここ三日間の様子を見る限りおめでただね。」
「そうですか。」
「一回経験しているから分かっているだろうけど、
激しい運動とかは絶対にしないこと。
なにか不調があればすぐに来ること。
いいですね。」
「はい、気をつけます。ありがとうございました、ドクトさん。」
そう言って、私は病院を後にしました。
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アヤトにも弟か妹が出来るんですね。
言ったらどんな反応するかしら。
ふふっ。
上機嫌でフリッツさんの家に向かって歩いて行きます。
もう陽はほとんど沈んでいて、明かりがつき始めています。
アヤトは元気かしら?
ミリアちゃんとは仲良く出来ているかしら?
そんな風に歩いていると、
「メアリーさんっ。」
前から走ってきたフリッツさんが、
ただならない様子で声をかけてきました。
「フリッツさん、どうしたんですか?」
「ミリア達が帰ってきていないんだ。もうこんな時間なのに。」
「心配ですね。ギルドの方には?」
「まだ行っていない。これから行くところだ。」
「私も行きます。」
そうして、ギルドに着いた私たちは掲示板を見て
いやな予感に駆られます。
指名手配グループがこの近くに……
まさか、誘拐?
隣でフリッツさんが青ざめています。
私の顔も同じようなものでしょう。
私が固まっているうちに、
フリッツさんは受付の方に行ったようです。
「緊急依頼だっ。至急、ミリアとアヤトを探してくれっ。」
フリッツさんがそう怒鳴り込むので、
受付嬢の方は目を白黒させています。
すると、
「どうしたんですか?フリッツさん。」
「ユッドさん。」
騎士団の方が話しかけてきました。
「うちのミリアがまだ帰っていなくて。
お宅のギーム君は大丈夫ですか?」
「任務中だがこの村に来たことだし、
ちょうど今から帰らせてもらうところだったんだよ。
だから――」
「あなたっ。」
ギルドに女の人が駆け込んできました。
「どうした。」
「ギームがまだ帰ってきてないの。
アレフ君とビート君のところも。」
「なんだとっ。くっ、探しに行くぞ。
受付さん、とりあえず捜索依頼を受理してくれ。
それと、副団長に
「は、はい。」
一気にギルドの中が慌ただしくなりました。
そして、私たちは捜索を始めるのでした。
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五ミニ後、私たちは村の東端にいました。
「目撃証言だと、五人はここから東、
フォンターニュの家の方に向かったようだ。
おい、子供達はここから東に出た後帰ってきていないんだな。」
「はい、団長。今日、自分が見ていた間、帰ってきた姿は見ていません。」
見張りの団員さんがユッドさんに答えます。
「そうか。じゃあ、行くしかないな。メアリーさん、案内お願いします。」
「はい。わかりました。それでは、」
「んっ?すみません。ちょっと待ってください。あれは……」
ユッドさんが前方を見つめます。
そちらを見ると、二人の少年?と
その後ろから五匹ぐらいの動物が走ってきていたのでした。
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