タラバガニ

「へぇ~タラバガニってカニじゃなくてヤドカリの仲間だったんだ~」


「あれ? でも全然ヤドカリって感じじゃないんだけど……」


「むしろまんまカニじゃん」


タラバガニ

「ちっ、違うの男くん! 私、私そんなつもりじゃなくて! ちゃんとヤドカリなの!」


「え?」


ズワイガニ

「へっ、そんなこと言って。身体はすっかりカニじゃねぇかよ! この淫乱が!」


タラバガニ

「やめて言わないで! 男くんには言わないって約束したのに、この嘘つき!!」


「ってか、え? 誰?」


ズワイガニ

「いいですか~男く~ん。貴方のタラバガニちゃんは、俺たちのおかげで、すっかりカニになっちゃいました~!!」


タラバガニ

「いやあああああ!!!」


「ってか、すいません。ご近所迷惑なので、ちょ、もう少し小さな声で」


タラバガニ

「見ないで男くん! こんなアタシを、ヤドから出て物の見事にカニになっちゃったアタシを見ないでー!!」


「あっ、これ話聞いてないな」


ズワイガニ

「へっ! 今更カマトトぶってんじゃねぇよ! ほら! 男の前でいつもみたいに啼いてみろよ! おら」


タラバガニ

「うう、いやぁぁ! とれとれピチピチ! とれとれピチピチ!! いやぁぁぁ!!」


ズワイガニ

「あっはっは! こりゃあ見事なカニだよ! ほら、男くんも見てるぞ! あれ~? タラバガニちゃんを見て言葉も出ないかな~?」


タラバガニ

「うう、ごめんなさい男くん。約束……守れなかった」



その後、タラバガニとズワイガニは無事男くんの夕食になった。



久しぶりにカニが食べたい終わり。

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