西武線に乗って~セミなんです~

ねえセミなんで乗ってるの?

今高田馬場を過ぎたばかり

西武新宿へはもうすぐだね


スマートフォンにブルートゥースで

カナル型イヤホンを接続して

音楽を聴いている僕


座った時には全く気付かず

前に座っていたお婆さんが

僕の肩をとんとん叩いて

教えてくれたセミの存在


「涼んでるのかしらね」

僕の左の肩越しの背もたれに

張り付いたセミを指差す


窓の枠でちょうど

日陰になったところに

ちょこんと止まった一匹の

セミなんです

ホーシーツクツクも言わず

もんもん黙々の

セミなんです


お婆さんは高田馬場で降りて

西武新宿まで僕とセミ

隣どうし仲良く行こうか


そうセミとっても暑いね

今日の外気はとても

でももう降りなきゃね


セミはそのまま所沢方面へ

折り返したって

良いだろうけどね

誰もセミを咎めやしないさ





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る