5#逆襲の巨大イノシシ!決闘は風船?!
「な、なんじゃこりゃ!!」
ぷううううううう~~~~~!!!!!
『風船と逝きし獣達の世界』の片隅から、一匹の大きなイノシシがどんどん膨らんできた。
ぽんー!!
巨大なイノシシが遂に飛び出し、地響きをたてて3匹の猟犬の前に転がってきた。
「なに?」「まさか!!」「何でこいつが!!」
「ねえ?このでっかいイノシシって、お前達の知り合い?」
慌てて3匹の猟犬と4つ角のシカの前にやって来た白いクマのパァンが、猟犬達に聞いた。
「何もこいつは、俺とセルパが猟で戦って仕留めたイノシシだよ。
やあ、『ブーセン』よ。生前は世話になったな。」
ポチは、通常のイノシシより10倍位巨大なイノシシの逞しい蹄をペロペロ舐めた。
「世話になった?おい!!僕はなあ、この『ワールド』にお前ら因縁の敵が来てるってんでな!!転生先の別世界から無理矢理這い出て来たんだよ!!
『復讐』の為にな!!」
「べっせかい?」
オムは、白いクマに目配せした。
「説明するよ。死んだ獣は、死後に必ず出逢う神の思し召しで、異世界に転生されるか現実世界に生まれ変わるかだ。
現にここは、現実世界と異世界の中間点だ。
その気になれば、異世界からここに這い寄る事も可能だ。」
「そうだったの?!」
この様子を覗き見していた、4本角ジカのノバは仰天した。
「そこでだ。俺はお前ら猟犬と俺とここで決闘しに来た!!俺をコケにしたお前ら!!覚悟しろぉ!!」
「じゃあ、風船膨らまし割りで決闘な!!この聖なる場所で喧嘩ならこの世界は崩壊へ導くよ!!」
4本角シカのノバは、巨大イノシシのブーセンと3匹の猟犬の前に其々まだ膨らませていない超巨大なゴム風船を置いた。
「わんちゃん達!!誰がこの前獣未踏の特大風船を膨らます?当然、口で膨らます?」
「俺がやる!!風船膨らませはかせろ!!」
名乗り出たのは、肺活量自慢のオムだった。
「いや、そこの茶ブチのポインター犬かビーグル犬とやりたい!!
何故なら、俺を狩って崖に突き落としたのはお前らだからだ!!」
「ちょっと!!俺、そんなに肺活量は・・・」
「ポチ、俺・・・受けてたつよ。
確かにお前さんの猟に参加したよ・・・でもね、俺お前さんに岩に激突させられて大怪我させられた因縁あるからね。」
「セルパ、そんなことあったの?」オムは、目がマジになってきたビーグルのセルパに困惑した。
「じゃあ、イノシシさん。ビーグル犬さん。吹き口を口にくわえて!!
この風船が割れたら、スタートね!!
はいっ!!」
白いクマは、口で洋梨状にパンパンに膨らませた風船に鋭い爪を刺した。
ぱぁーーーーーーーん!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
両者、頬をめいいっぱいはらませて超巨大なゴム風船を口から息を思いっきり吹き込んで、膨らませ始めた。
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
・・・あの巨大イノシシブーセンの野郎、もう空気がゴム風船全体に行き届いてぷっくりと膨らんできた、・・・
・・・俺は所詮、へいきんの『犬』並の肺活量だから、まだ半分したゴム風船に届いてない・・・
ビーグルのポインターは、身体中の空気を搾り取るように頬を顔の何倍にもはらませ鼻の穴もパンパンにして息を思いっきり吸い込んで、超巨大風船にありったけの吐息を吹き込んでいった。
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
「セルパ!!俺も参加する!!」
ポインターのポチは、ストローをセルパの膨らましている風船の吹き口の中に入れると、そこから吐息をぷぅーーーーーーーーーっ!!と思いっきり吹き込んできた。
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ポチとセルパが膨らます超巨大風船は、みるみるうちに大きく大きく大きく大きく膨らみ、遂に巨大イノシシの膨らましている風船の大きさに近付いてきた。
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
「な、何だかやばくね?両者とも。」
オムは、垂れ下がった耳を必死に塞いだ。
「わ、風船がパンクしたら!!どうしょう!!」
白いクマも耳を塞いでビビっていた。
「でも、『風船と逝けし獣達の世界』の獣達がとてもエキサイトしてるよ!!耳を塞ぎながら。」
4本角のシカは耳を塞いではしゃいだ。
「ばかっ!!この巨大風船じゃなくて、普通のゴム風船で『決闘』させれば良かったじゃん!!
ほら!!イノシシの風船なんか、天井に届いて・・・」
「やば!!あの突起が風船に刺さったら!!強制終了!!強制終了!!」
「ねえ、2匹の魔法使いさん達、それ大丈夫だと思うよ。ほら。」
ぷしゅ~~~~~~~~~~~!!ぶおおおおお~~~~!!
ぷしゅ~~~~~~~~~~~!!ぶおおおおお~~~~!!
巨大イノシシのブーセンも、
猟犬のポチとセルパも、
身体中の空気を使い果たして、萎んだ空気ビニール人形のようにへたりこんで倒れていたからだ。
含ませていた超巨大風船は、『風船と逝けし獣達の世界』の周りをロケットのように吹っ飛び、獣達が大はしゃぎしていた。
「はい、これー!!」
獣達は、すっかり萎みきった超巨大風船を白いクマと4本角のシカに手渡すと、白いクマはくんかくんかと、其々の吹き口の匂いを嗅いだ。
「両者、ドロー!!」
白いクマは、そういって超巨大風船を折り畳んでダンボールの奥に引っ込めた。
「ビーグル・・・ポインター・・・どっちだっていい・・・俺の鼻の穴に息を吹き込んで膨らませてくれ・・・」
「大イノシシのブーセンさん、こんなに身体が空気が抜けて、シワシワになっちゃって。」
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