第61話
「ハッ、それはそうだろう!! なにせ貴様は
うん、ご説明ありがとう。
でも、オレが知りたいのはソッチじゃなくて、最初の質問の方なんだがな。
同じ発言を二度繰り返すのは好きじゃないんだが……まあ、今回は続けて別々の質問をぶつけたオレが悪かったワケだから大目に見てあげましょうそうしましょう。
地味に
「ソレはどうでもいい。んなコトより、なんでテメエがオレらトリップってたの知ってんだ? ソッチを答えろ」
言うと、現在進行形でヒャッハーしてやがるデブは、触れもしないのに頬骨を圧迫する黒炎を掴もうと躍起になりながらもどっか楽し気に口を開いた。
「何故だと? 決まっているッ! 貴様らを回収した場所はッ、世界中、日本各地にも点在する地獄への道、
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?
コイツ、今なんつった……?
『監視下に在った』……?
「ふひゃ、ふひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!! いやはや、今にして思えば僥倖だったッ!! ここ数年急激に魔力反応が高まり魔境域認定までされるような土地がッ、あのような都市近郊に現れた時はどうなる事かと思ったがッ、貴様のような高位妖魔を宿す憑き物を大した隠蔽工作も必要とせずに容易く確保できたのだからなッ!!」
――――――――……………………数年?
今、数年っつたかオイ?
それってつまり、魔界への門があそこに在ったのを何年も前から知っていて、なのにずっと放置してたってコトか?
「そうだッ!! 喜ぶが良い小僧ッ!! 記録によると四世紀以上前には世界中の黄泉比良坂が鎖され、それに伴うように現世での妖魔発生件数も減少していたッ!! 故にッ、妖魔、術式研究は停滞を余儀なくされ、近代の科学技術の台頭と相まって時代の片隅へと追いやられていたッ!! だがッ、貴様の存在がそれを一変させるのだッ!!」
オイオイ、しかもその理由が
ハハッ。笑える。
「どのような薬物を物ともせずッ、重機にすら優る圧倒的な膂力を持つ肉体ッ!! 今まで精々が個人携行可能な銃器程度の火力しか持たなかった直接攻撃術式の大幅な強化ッ!! そうした超常によって齎される全を踏み付ける個の力の数々ッ!! それらの子供の妄想じみた力が現実のものとなるッ!! 文字通り世界が変わのだッ!!!!!!」
挙句の果てには『世界が変わる』?
ハッ、世界――世界ときたか。
こりゃスゴい。
そんな事の――
「その為には黒宮辰巳ッ、貴様の献身が必要不可欠だッ!! さあ、莫迦な真似は止めてさっさと部屋に戻――
――父さんと母さんと兄さんは死んだのか?
――ガブヒェッ!??!!!」
そう思った瞬間、ドッとあふれ出した真っ黒い魔力が部屋中を満たし、視界の全てを黒水晶で透かすような世界へと塗り替えていた。
ついでに、ビキビキと身体中からナニかが鳴り止まないような気もするが、それもどうでもいいな、うん。
あと、顔固定されて目ギョロつかせてたデブがなんか真っ青になってる?
なんで?
オレ、ちゃんと呼吸はさせてやってると思うんだが?
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