第229話 二人目の人魚姫?(9)

 僕自身は、まあ、こんな感じでね。従妹の亜紀ちゃんと、いうか?



 僕の長らく束縛していた彼女、妻にも等しかった女性である亜紀ちゃんへと、ふっと、彼女を嘲笑うように。冷酷な男を演じながら、僕の目の前にいる金髪碧眼、お嬢さまクルクルツインカール仕様の上に、魚の鰭のような大きな耳を持つ裸体の女性。シルフィーヌが僕の妻だと冷ややかな目、冷淡な面構えで告げ説明をした。したのだが……。



 あっ⁉ あれ? 可笑しい? 可笑しいぞ? と、僕ふと思った。思ったのだよ。だってさ? 良く皆も思案をしてみて欲しい。欲しいのだ。


 だって僕の目の前で、大人しく座りながら。僕が自身の髪の手入れ……。セットをする最中を御機嫌麗しく待っていた妻のシルフィーヌなのだが?



 僕のシルフィーヌの耳には、今の現時点では、変異、変化、変装をしていない状態なのだ。


 だから元僕の彼女(物)だった亜紀ちゃんは。元彼の僕に対して、御怒りモード。憤怒しながら勢い任せに怒号、罵声を放つ、吐くよりも。驚愕、驚嘆、動揺をする方が先。先の筈なのに。


「はぁああ~。誰が新太~。あなた~。自分自身の目の前にいる女性が妻ですかぁあああ~。私と言う物~。妻がもう既にいるのに~。何を~。浮気~。他の女性(ひと)と勝手に朝まで床を一緒にしているのですか~」


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