第20話 タイガーの訪問

「申し訳ありません。そのなんてお伝えしたらよいのか……」


 爪にチャイムが刺さったままタイガーが謝る。


「いや、チャイムくらい直せるんで大丈夫です。お気になさらず……」


「いや、そうではなく……」


 ドリーとミアとシーの三人は首を傾げる。


「とにかくここでは何ですから、中へどうぞ」


 ドリーが勧める。


「いや、ご自宅に上がらせて頂くわけには……」


 三人はいぶかしがり話かける。


「両親に何かあったのでしょうか?」


「いや……その……」


 異変を察知する三人。ミアがすかさず


「何かあったんだわ……」


 シーも続けて


「何があったんだろう……不安になってきた」


 二人の言葉を聞き、深呼吸をするドリー。


「とにかくタイガーさん、中へどうぞ。ここでは話せませんから」


 タイガーは諦めがついたらしく、大人しくムー・アーケ先生の自宅の門を潜った。


 壁には昔流行ったレコードや素晴らしい調度品が並べられ、観るものの目を楽しませるが、今のタイガーには何一つ映らない。


「タイガーさん、こちらが父の書斎です。こちらでお待ち頂けますでしょうか?」


「勿論です。失礼致します」


 ドリーはミアとシーにお茶とおしぼりを頼み、タイガーと部屋に入る。


「どうぞ。こちらへ。」


朝、リーとムーが食事を摂っていたテーブルへと案内し、着席させる。


「二人がいない間に伺いたいのですが、両親に何があったのでしょうか?」


 ドリーは訊ねる。


「これは失敬。あまりの事に動揺してしまって。実はお二人が誘拐されたようなんです……」


「誘拐?!?! 一体誰にですか?」


「その……時空ペンギンをご存じですか?」


「噂話で聞いた事はありますが、詳しくは……」


「どうやら、時空ペンギンに連れ去られたようなんです。ここに警察から預かった犯行声明のコピーを持ってきました」


 例の紙のコピーをテーブルに置くタイガー。


 それをそっとドアの隙間から覗いていた二人が聞き、声をあげた。


「リーとムーが時空ペンギンに誘拐されただって?」




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