第19話 タイガーとの初対面

「あぁ……なんて説明したら良いんだ……」


 ポッドタクシーの中で頭を抱えるタイガー。


「とにかく、お子さまに全てをお伝えしなければ……」


 ガックリと肩を落とすタイガー。


「しかし何故、ムー・アーケ先生御夫妻が時空ペンギンに捕まってしまったんだ?」


 謎だらけだった。


「一刻も早く、先生のご自宅へ急がなければ……」


 ポッドタクシーはタイガーを降ろし、走り去って行った。タイガーは走り出す。


「はぁっ、はぁっ……ムー・アーケ先生のご自宅まで早急に……」


 ◇ ◇ ◇


「ここであってるかな?」


 息を切らしながら、チャイムを押そうとするが指が震える……


「私はなんて説明したら良いんだ……私自身、いや誰も時空ペンギンの事なんて、解らないじゃないか……」


 声も指も膝も全身がプルプルと震えるタイガー。


「ここは心を決めるしかない!とにかく誠実に説明するんだ……」


 タイガーは目を瞑り、震える指でチャイムをバネが跳ね返るように力強く押した。


「あっ!」


 その瞬間、タイガーの爪がチャイムに突き刺さってしまい、抜けなくなってしまった。必死に抜こうとしている中、ドアが開き子供達が出てきた。


「お帰りなさい!」


 タイガーの顔を見つめる三人。同じように三人の顔を見つめ返すタイガー。タイガーはまだ必死にチャイムから爪を抜こうとしている。


「えっと、どちら様でしょうか……」


「あっ、失敬!私、ジャングル出版社の編集部に勤めているタイガーと申します」


「ジャングル出版?」


 三人は声を合わせる。


「本日は父と母がお世話になりました」


 ドリーがお礼を伝える。


「あっ、挨拶がまだでした。僕は息子のドリーと言います。そしてこちらが……」


 ミアを見つめて挨拶を促す。


「はじめまして。タイガー様。娘のミアと申します。そしてこちらが……」


 シーを見つめて挨拶を促す。


「はじめまして、父がお世話になります。息子のシーと申します。本日は足をお運び頂き、ありがとうございます。あれ?父と母は……」


 その言葉に我に返りチャイムごと爪を引き抜くタイガー。


「あっ……!」


 四人ともタイガーの爪に刺さった、チャイムを見つめていた。

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