第18話 ドリーとミアとシーの時間

 ドリーとミアとシーの三人はムーの書斎でコレクション達と遊んでいる。


「今回は出版されるかな……」


 ミアが話しかけながら、一枚のレコードを取りだしプレイヤーにかけ、音楽が溢れ出す。


「すぐに出版は決まらないさ!でも父さんの作品の面白さは分かって貰える。僕はムー・アーケの一番のファンだからね!」


 ドリーが答える。そこに二人が呆れた様子で会話を続ける。


「一番のファンはお母さん。それは間違いないわ。そうよね、シー?」


「あぁ、僕もそう思う。ところでリーとムーは何時頃帰って来るのかな?」


 三人とも首を傾げる。


「ジャングル出版は東京にあるって言ってたから、少し遅くなるんじゃないかな……」


 シーが答える。そこへドリーが


「出版が決まったら、お祝いしなきゃね!」


「そうよね!久々の嬉しいニュースだもの。盛大にお祝いしましょ」


「まだ会っただけなんだから、気が早すぎだよ。父さん落ち込んで帰ってくるかもしれないし……」


 シーのその言葉に肩を落とす二人。


「そうよね。すぐに決まるわけないよね。でも、編集部にファンがいるんだから、いつもより近道よね」


「そうさ!今日は顔合わせだけかもしれないけど、作品の良さを知っている僕達が、信じないでどうするんだ?」


 ミアとドリーは心配そうに顔を見つめ会う。シーの言葉に不安が押し寄せる。


「どんな顔で出迎えようか?」


 三人が同時に言葉を発する。


「いつも通りが一番じゃないかな?」


 シーが答える。ミアが続けて、


「そうよ!普段通りに出迎えましょう」


「そうだね、結果がどうあれいつも通り、リーとムーの二人を明るく出迎えよう」


 シーはご自慢の翼を羽ばたかせ、書斎の最上部へ降り立つ。


 ここはコレクションの螺旋階段の終着点。ムーが今までに執筆した原稿や、結婚前に自費出版した本が並べてある。


「今日はどれを持っていったんだろ……」


 ピンポーン!!


 ドリーが答えようとした時、チャイムが鳴った。時間はすでに20時を過ぎていた。


「帰ってきた!」


 三人が声を合わせる。玄関に走っていき、リーとムーの顔色を心配しながらも、三人で笑顔のチェックをする。


「うん、大丈夫だ!」


 今、開けるよ!


「ガチャっ!お帰りなさい!」


 そこに立っていたのは、一人の虎の紳士だった。息を切らせ、チャイムのボタンに爪が刺さってしまっていた。




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