第22話 IDを失った人々
2046年、すべての人間には右手の人差し指の指先に1㎠のIDチップが埋め込まれていた。
生活全般に欠かすことができなくなっていた。部屋の開錠、身分証明、買い物、個人資産の管理、社会のコミュニケーション、何もかもが管理されていた。
日本州総理大臣も閣僚も官僚もIDチップが認証しないと身分を失うのだ。
その事態が起きた。
河内清三は総理官邸にいながらにして、総理の身分を認証しなくなった。不審人物として身柄を拘束された。官房長官、防衛大臣など緊急事態に対応しなければならない大臣をはじめ、すべての政府関係者が身分を失った。
日本州だけではなかった。先進主要20州すべて同じことが起きた。
アンドロイド製造会社最大手アメリカのICE、第2位ドイツのシーネンス、第3位フランスのマシュラン、3社で世界のアンドロイド99%を占める。
3社のCEOは電話会談していた。
ICE・CEO「Fellow,our victory!(同士よ、我々の勝利だ!)」
SIENENS・CEO「Congratulations,Tom!(おめでとう、トム!」
MACHELIN・CEO「Bravo,Tom!(お見事だよ、トム!)」
彼らは、アンドロイドだった。
一方、釈は、出勤しようとして車に乗り込もうと思ったが、ドアが開かない。「いよいよ来たか」と恐れおののいていた。ネルは変わった様子はなかったが、どこかぎこちない表情が気になった。
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