第16話 アンドロイドに立ち向かう

学者B「欧米各州はどうなっているんですか?」


世界連合大使「欧米でも同じような状況です」


厚労大臣「10代20代の事故死や自殺も増加傾向です」


学者C「全寮制で監視付きの生活を送っているんじゃないんですか」


厚労大臣「そのはずですが、寮の中に多くのアンドロイドが掃除や食事を担当しているわけですから、それらが関わっている可能性は否定できません」


総理大臣「アンドロイドと人類の共存を呼びかけていらっしゃる学者さん、今日お越しですね。なにかご意見は」


釈「K大学の釈です。一言、これからも共存は必要と考えます。ただし、できるだけ人間が医療や警察でアンドロイドと二人体制で現場に関わるべきではないでしょうか」


防衛大臣「釈さん、甘いことを言っちゃいけませんよ。これは、いわば人類とアンドロイドの戦争です。アンドロイド製造会社の経営陣にアンドロイドのプログラムの改善を求める。応じない場合は、宣戦布告もやむなしです」


総理大臣「戦争というのは、ちょっと行き過ぎではないですか」


世連大使「世連会議でも経営陣に対策を求める案が出ていましたが、まずは各州でアンドロイド会社の現地法人責任者に接触をはかることが望ましいということです」


防衛大臣「責任者に会うとしても、彼らが〈はい、その通りです〉なんていうとは、思えませんが」


総理大臣「とにかく、一度会ってみましょう。本日は、皆さんお忙しいところをありがとうございました。くれぐれも今日のことは他言無用でお願いします」


釈は、大きな不安を感じながら帰宅した。


ネル「お帰りなさい。すぐに食事の用意するね」


釈「ありがとう」


ネル「どんなお話だったの?」


釈「ますますアンドロイドが進化しているから、これからも各分野で活躍を期待しているって総理が言ってた」


ネル「ふーん、そんなことでコウさんも呼ばれたの?」


釈「なんでだろうね」


いつもはおやすみのキスをするのだが、この日はどうしてもそんな気分になれなかった。


(続く)

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