第15話 アンドロイドの陰謀
官房長官「それでは、厚生労働大臣から説明していただきます」
厚労大臣「アンドロイドの普及率は現在、日本の人口約9千万人に対して約6千万体、3分の2であります。
日本の年間死亡者数が約150万人、その内訳は、病死が100万人、老衰や不慮の事故が30万人、20万人がその他、注目すべきは、安楽死の数です。
安楽死法成立後10年が経過しますが、その推移は初年度の10倍であります。
安楽死は、本人の署名捺印が必要になりますが、本当に本人によるものか甚だ疑わしい状況です。驚くべきは、安楽死を選んだ方の遺産の行方であります。遺産は、家族解体前の血縁関係に相続されるものですが、なんと安楽死前の1年未満に保険会社の契約が変更されてアンドロイド製造会社に振り込まれています。
これは、見過ごすことはできません。
自殺と家庭内における事故も増加傾向にあります。不思議なことに家庭内に居るはずのアンドロイドがその様子を録画していない件数が約5割、これは何を意味するのか。
また、家庭内の死亡を検証する警察官がアンドロイドの場合、かなりの数で他殺つまりアンドロイドによる殺害を見逃し事故死扱いしているのではないかという指摘があります」
経団連会長「つまり、アンドロイドに殺されている可能性があるということですかな?」
厚労大臣「その通りです」
財界・学者席から驚きの声が上がった。
学者A「警察官からアンドロイドを排除すればいいんじゃないですか」
警察庁長官「それはもう無理です。アンドロイド抜きでは現場検証できない状況にきています」
厚労大臣「医師の多くがアンドロイドである以上、病死も疑う必要があります」
総理大臣「皆さん、いかがですか?危機的な状況を理解していただけたでしょうか」
釈は、言葉を失った。(ネルは大丈夫か)心の中に不安が生まれた。
(続く)
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