第9話 反乱の兆し
釈「CEOがアンドロイドってことは、どういうこと?」
彩「大昔、ターミネーターっていう映画があったでしょ?それが現実になるかもって」
釈「まさか」
彩「ま、うちのお父ちゃんを見てたら、想像つきませんけどね」
釈「お父ちゃんって(笑)彩さんのパートナーでしょ?」
彩「だって、医者って昔は憧れの職業だったでしょ?今はアンドロイドがほとんどだし、なんか家に帰ったらくたびれてるんですよね」
釈「アンドロイドもストレスあるんじゃないの?」
65歳以上の人口が3人に1人の超高齢社会となった日本州(世界連合政府になり、州となった)は、男性アンドロイドの多くが医師として働いている。
普通の外来の診察をアンドロイドが担当し、救命救急や高度な技術を要する外科医などを中心に人間の医師が担当している。
釈「じゃあ、資料の説明していただけます?」
彩「では、まず1ページ目から…」
ざっと説明を受けた釈は、教室に向かった。
講義内容は「21世紀後半の人類の展望」である。
日本では、人口減少に歯止めがかからず、農村や過疎地では自治体が崩壊し、国土の荒廃が進んだ。
都市部では、高齢者虐待や幼児虐待など家族制度の崩壊が進んだ。
生殖医療の研究が進み、人工培養装置により人間の「製造」に成功した企業が現れ、日本政府は家族制度の解体へ舵を切った。
「このシステムは世界の人口増加を抑制する画期的な方法である」と、世界の研究者がこぞって奨励した。
「製造」された乳児は、すべてコンピューターに管理された。子供の成長もすべて監視下で画一的に管理された。
世界連合政府が、このシステムを世界基準としたため、世界の人口が減少へ転じた。
世界のあらゆる地域で家族制度を取り戻そうと反乱が起きた。
その度に鎮圧され、あらゆる場所に監視カメラや盗聴器が仕掛けられた.
家族制度を補うものとして、異性のアンドロイドと生活することが国際常識となった。
世界人口は、100億人突破以降、50億人まで半減した。
その結果、製造業、農林水産業、建設業などあらゆる分野でアンドロイドの労働力が必要不可欠となった。
釈が行う講義は、アンドロイドとの共存はどうあるべきかを考察する。
実際に、アンドロイドによる反乱が起きはじめていた。
(続く)
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