独りぼっちの世界で

作者 宮澤真宙

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★★★ Excellent!!!

世界。
自らのかかわることではないこと。

主人公はちょっぴり偏執狂かもしれません。自らの思想、あるいは思想することに心酔している様子が見えます。社会で孤独を感じる中、自分だけが正しいことに思いを至らせている、その、自分にとっての真理に浸る。そんな様子がしつこく描かれています。

そうして世界が転換する。執着していた世界のいざこざが、瞬時に消えてなくなる場面に移ります。

悩みわずらうことのない世界。
そこで主人公は思想=脳の働きに、ふと異変を覚えたのだと思います。

「 僕は孤独になりたかったのではない。
 ただ縛り付けるものから逃れたかっただけなのだ。」本文より

『自己とは自己自身に関係するところの関係である、すなわち関係ということには関係が自己自身に関係することが含まれている、――それで自己とは単なる関係ではなしに、関係が自己自身に関係するというそのことである。』

キルケゴールは『死に至る病』で、このように記しています。

孤独な世界での気づきは、ひとりだけの彼にとって、現在に自己をつなぎとめるキーとなったのでしょう。