第3話 完全完璧のコンペティション
このマンションには姉妹がいる。
火星姉妹。
彼女らの仕事は「ミサイルのルート」を決めることにある。
彼女らがルートを決め、私が将軍様に提出、ミサが準備をし、テポが発射する。
アンモは球だ。
「ねぇーできたー?」と、火星姉妹の部屋のドアを叩く。
中から「はい」という返事が聞こえた。
ドアが開く。もじもじとして立っているのは妹。常に体のどこかを動かしているので見てるだけで忙しない。
「あ…あの…姉は…その…中で…」と、歯切れの悪い言い方をする。彼女は姉の小間使いであるため、玄関はいつも彼女をバックに見ることになる。
玄関は至ってシンプル。
白い壁。
靴箱…の上にテーブルランプ。
やはり、人が出入りする間は綺麗だと心地いい。
と、思ったら負けだ。
私は靴を脱ぎ、妹の後をついていき、姉の部屋に入る。
そこは、カップラーメンとコーラ缶が散乱した阿鼻叫喚のゴミ屋敷だった。
「………あんた、たまには自分で掃除しなさいよね」私がカップラーメンを踏まないようにつま先だけで歩く。
妹はカップをグシャリと踏む。
部屋の中心には火星姉妹の姉がいた。
姉妹でありながら、姉と妹は双子のようにそっくり。
おでこがハゲていて、金髪。
ほくろが所々にあり、そして、軍服。
「私が片付けたら妹のいる意味が無くなるだろう。これは善意だ」と、ぬけぬけと、しかし無機質に応える。
私はミサイルのルート原稿の説明を求めると、姉は前にあった机を開き、ごちゃごちゃしたプリント用紙の束から一枚を抜き出す。
渡されたプリントは「焼肉割り引き券」
…首をかなりの角度で曲げる。
「…んー?これは…?」私は券を見せる。
と、同時に姉の顔が赤くなる。
「っ……まっ…まて…それは…」姉は券を引ったくり、ゴミ箱に発射した。
妹はあうあわ言っている。
姉はすかさず、本当のプリントを突き出した。
咳払いしてから彼女は説明し始めた「今回の要求は隣国の圧力という訳らしいから、南海道と南海の間を通り抜け、太平洋に落とすつもりだ。都市爆撃じゃないからつまらんよ」
と、説明する。
彼女らは元ミサイルだったが、ある事故により今はこの様な事をしていたりする。
なので、とても攻撃的だ。
「ふーんまあ、いいわ、じゃあ提出してくるね」と、言うとプリントを持って部屋をでる。玄関をでる。
目の前には変態…もといテポ。
「何してんの…?」
テポは床に張り付くと、望遠鏡で外をみている。
「何って…あなた達だよ」と、テポは猫なで声で言う。
「じゃあどうして外を見ているの?」
「あそこの鏡あるじゃん?あれをズラしてあなた達の部屋が見えるようにしたの」
「…この不審者が」
「あら、不審物じゃないの?」
「つまらん揚げ足とるな、別に変なことはしてなかっただろ?」
「へぇーー?変なことぉ……?」テポはにたぁ…と笑う。
「姉が…さっき渡した焼肉店割り引き券……ミサイルは食べないのにどうして持っているのかなぁ…?」
背筋が冷たい。
「あれ?もしかして…もしかすると…」
と、言うと共にテポが爆発した。
私は見上げると其処には紫の陰。
「ふっ…詰まらぬ奴を爆撃してしまった…」
…ミサだ。
「あんたら…」私はそそくさとマンションをあとにする。
「あの姉妹の事は言っては駄目だ」
焼肉……
焼肉食べたい…
「うわああああああっ!?」
私は布団からとびおきる。
え…?
私…あれ?夢落ち?
え?落ちがないの?
ち…ちょっと…!?爆発オチでもいいからオチてよ!ちょっと…!
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます