第45話 謎の地で2

小さい人間はちびと呼ぼう。髪の毛を2つに結んで、ねぇちゃんの腰までくらいの大きさだ。そいつはおれを見ると、たたたっと向こうへ走る。走るので、おれは追いかける。動くものを追いかけるのは、おれの性分だからな。おれの方が足が早いから、すぐに追いつくのでちびの足を鼻でつんつんしてみる。


「きゃーーーーーーーー!」


耳がキーンとするくらい大きな声でちびが叫ぶ。やばい、恐がらせたか!?

……いや。ちびはうれしいんだ。おれにはわかる。

ねぇちゃんの顔を見たけれど、ねぇちゃん笑ってる。ちびの父ちゃんも笑ってる。やっぱりだいじょうぶみたいだ。


「疲れたでしょう。二人とも。何飲む? ビールあるよ」

「うん、お母さん。ビール飲むわ。2つね」

「すいません、ありがとうございます」


ねぇちゃんビール飲もうとしてる! にいちゃんも……!

はっ。後ろに人の気配がする。


「わんわん!」


後ろのいるのも小さいやつだ。ちびより小さいから"こちび"と呼ぼう。かみが短くて、オスかメスかよくわからん。だけど、こちびのおれを見る目がきらきら輝いていて、おれも嬉しくなってきた。なんだよちびもこちびも。おれがいてうれしいのか? ちなみにおれはわんわんじゃなくてシロだからな。覚えてくれよな。


ちびとこちびが走る。よし! 追いかけっこだな! 負けないぞー!!


たたたたたたた。ちびとこちび。

カチャカチャカチャカチャ。おれ。



「子供達犬好きでさぁ、今日楽しみにしてたんだよね」

「なら良かったよ。シロも遊ぶの好きだからさ」

「明日散歩行くよね?」

「お兄も犬好きだったよね、昔から」



「「きゃーーーーーーー!」」

いえーーーーーーーーーい! ちび! こちび! 走るぞ走るぞ!

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