第17話 カワイイ進化論
…………………。
…………………。
……はっ。いつの間に俺は寝てた?
いかんいかん。
俺は考え事をしているのだ。
ついこないだの話だ。
散歩に行ったら、友達っぽいやつがいたからあいさつに行こうとしたんだ。
足が4つだし、毛だらけだったし。
俺達と同じだから。
あいつは俺みたいに首にヒモをつけてなくて、まわりに人間もいなかった。
俺が近づいていくと、背中を丸めて一ミリも動かずにこっちをじっとみて、
「にゃー」
って言った。
俺は察したぞ。
目が。
目が怖い。
これ以上近づいたらただじゃ済まないぞって。
でも行きたい!気になるぞ!!
俺の探究心は止められない。
近づこうとしたらねぇちゃんが言ったんだ。
「シロみて、あのねこ"カワイイ"ねー!」
カワイイ………だと!?!?
あいつ……名前がわからないから仮ににゃーの者と呼ぼう。
にゃーの者は俺と同じ"カワイイ"という生き物らしい。
それと、これはまた別の時の話だ。
散歩に行ったら"カワイイ"って聞こえてきたんだ。
おっ!友達だ!と思って俺は走った。
そこにいたのは二本足でよちよち歩く何かだった。
人間にしては小さい。
ねぇちゃんみたいな人間がまわりにいたから、飼い主かな?
なんだあいつは?と思って距離をとってみてたんだ。そしたら、
「きゃーーーーーーーー!!!」
ってこっちにきたんだ!
よちよちよちよち!
よちよちよちよちよちよち!!
俺もきゃーーーーー!!!だった。
何言ってっか全然わかんねぇ。
どうやら敵意はない。
そしたらねぇちゃんが
「あぁ〜〜〜"カワイイ"〜」
って!!
カワイイだって!?!?!?
こいつもか!!!
なら遊ぶぞよちよち野郎!
思いっきり走ったら
首がビン!!
で、
ウッ!!!!
ってなった。くるしい。
それにしても"カワイイ"……
俺の知らないことがまだまだあるぜ。
この、にゃーの者とよちよち野郎。
こいつらがカワイイということは……
俺はいつか、にゃーと言って二足歩行をするのではないか?
つまりこう……
俺→にゃーの者→よちよち野郎
こうなる。
でも田吾作は大人だけど俺と同じだったなぁ……。
うーーーーん。
はっ!
もしかして……
こういうことか!!
俺→にゃーの者→よちよち野郎→大人(田吾作)
きゃーーーーー俺天才!!
どんな生き物も知ってるやつと知らないやつじゃ大違い。
"ちしき"はあった方がいい。
だけど俺は知ってるやつだ!ふふん。
一足飛びで二足歩行をマスター出来るかもしれない。
そうと決まればれんしゅうするぞ!
この玄関のトコにある柵……これに捕まって……お!いける!?
あっねぇちゃん!
どうだこれみてみて!!俺天才!!
「シロ!おすわり!!腰悪くするよ!」
あれーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?
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