第21話姉からおっぱいを揉めと迫られるんだが

 

金玲ねえさんがこんな風に手を出して来るのは初めてのことじゃなかった。


高校の二年間の内……いや、二年だけじゃない、中学時代も通して、毎回僕が気に入った女子と出会うたびに、各種さまざまなあり得ない事態が発生してしまうのである。

 

たとえば、


女子にケーキをプレゼントしたとする。蓋を開けてみるとケーキの上に黒い点が三つ乗っかっているので、つまんでみると死んだゴキブリだったり……


女子と映画を見に行く約束をしてみると、僕が映画館の前で小一時間ほども待った後、電話で確認してみると、女の子の方から呆然とした様子で、今ついさっき僕から日取りを変えるという電話があったとか……


あまりに多いそういった出来事は、全て金玲ねえさんの傑作というわけだった。

 

このままにさせておいていいはずがない!

 

僕は火が付いたように学校が終わると自宅へと戻った。

 

玄関を開けてみると、皇玲ねえさんと香玲ねえさんが奇妙な姿勢でソファに座り、テレビを見ているところだった。

 

よし、これなら全ての事情を一度に解決できる。

 

「香玲ねえさん!」


僕は声を上げた…


「ちょっと話があるんだけど!」

 

香玲ねえさんは驚いた様子で、肩をちぢここませた。

 

けれど僕がそうやって声を張り上げた後になって、ようやく彼女たちがとっている姿勢が、まるでバイクに二人して跨っているような感じで、皇玲ねえさんが前、香玲ねえさんが後ろ、しかも香玲ねえさんの両手は皇玲ねえさんの左右の胸のところを揉んでいるのだった。

 

「二人とも一体なに……してんの?」

 

「話があるならこっちに来なさい、ちょうど香玲の手も疲れて来たところだ」

 

皇玲ねえさんは指で自分の後ろを示し、テレビの電源を切った。

 

僕は何がなんだか分からないままソファへと向かい、香玲ねえさんと場所を代わった。


両手をどこにやって良いか分からず、それを言うなら皇玲ねえさんの後ろに座って何をすればいいのかも分かっていなかった。

 

皇玲ねえさんはのけぞるようにして背後の僕を仰ぎ見ると、僕の両手を引っ張って自分の胸に当て、ほっとしたような口調でいった…


「私は胸を揉んでこなかったから大きくならなかったんだ、はぁ……そうやって苦労しながらあんたたちを大きくして来たんだから、あんたたちは今こそ恩返しをしないといけないんだぞ……私に代わってとっとと揉め」

 

「……」

 

僕は胸に手を当てながら、恐れおののいていた。

 

「なにやってんだ!」


皇玲ねえさんが肘で僕の腹をどついた。


「さっさとしろ、もし私が一生Bより少し小さいままだったら賠償させるからな」

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