第107話アルバイ辺境伯

年月とはあっという間である。

ドラゴンの事や色々なことで陛下に呼び出され、王都と領地をいったり来たりしたり

慣れない領地経営や子育てに励む間に5年の月日がたった。


生まれた娘は5歳となり元気に育っている

4歳となった一年前には王都にて顔見せがあり、ちょっとした家族旅行を楽しんだ。


明日は、久しぶりにダンジョンマスター殿の所へと訪ねる日となったのだが、困ったことが起きた。


「パパと一緒に出かける!!」


最近は何でもしたがる娘が、仕事で出かけると言い聞かせても聞いてくれず、何時もならなぐさめてくれる妻は少し体調を崩してしまい部屋で休んでいるのだ。

ダンジョンの森付近は安全といっても

少し離れると魔物達が生息しているので

絶対安全とは言い切れない。


信頼出来る冒険者のイオリード殿に頼もうと思ったが残念ながら近日中に到着することは叶わない所で活動をしている。


翌日、娘と馬車に乗り込み僅かな護衛を連れダンジョンマスター殿の所へと向かった。

森に入ると薄暗くなり、先程まで機嫌良く鼻唄を歌っていた娘が私のズボンの端をギュッと握りしめる。

頭を撫で大丈夫と言い含めるた。


魔物には会わなかったが奥に進むと突然何故か森の緑が奪われたような荒れた土地が

ドラゴンがいた山の方まで続いている。


またもやなにか異変が起こったのだろうか?

心配しながらもダンジョンへと無事に着くことができた。

ダンジョンへと足を運ぶ時の護衛は皆、数回ここへと来たことがあるので、ダンジョンの入り口から顔を覗かせるゴブリン達には驚かず、挨拶を交わしている。しかし今回は娘が居るため、娘は私の後ろへとパッと隠れた。


怖がる娘を馬車に置いておく訳にもいかず

足にすがり付く娘を引き摺りながらもダンジョンへと入っていく。




それからは、ゴブ太殿との話し合いが長引き、娘が居ないことに気付くまで暫くの時がかかった。

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