第29話ゴブ太

殺人蜂の養蜂が進み、蜂達が増え始めた頃に

問題が起きた。


「蜂蜜が採れない?」


伝令に来たゴブに問いかける。

当初は蜂蜜採りに数で押していたゴブ達だが、蜂の巣が大きくなると共に、護衛蜂の

数がみるみるうちに、ゴブの数を上回ってしまい、妨害され殺傷能力を抑えられた針の毒 によりその日の戦闘能力を奪われる。

マスターの存在が抑止力となりゴブ達が死ぬ事はまあ無いが、ゴブ達にとっては唯一の

甘味である蜂蜜が食べられないのは悲しい事だ。


「仕方がない、暫く様子を見て蜂の女王に話をしてみよう。」


マスターに貰った花の種を育て花畑を少し増やしてみるかなと思うゴブ太。



ゴブ太の他の仕事が終わらない為に

蜂蜜の問題を後回しにしてしまった事で

後日、とんでもない事になってしまった。


「え?ゴブミが女王蜂の所へ?」


伝令ゴブが字のごとく飛んで来た。

どうやら蜂蜜の事で一番楽しみにしていた

ゴブミが蜂の巣へと乗り込んだと言うのだ

直ぐに暇なゴブ達を集めゴブ太も殺人蜂の女王の蜂の巣へと急いだ。


蜂の巣へ着くと戦闘は終了していた。

護衛蜂が死屍累々で…

いや死んではいない、40匹を超える護衛蜂が気絶させられていた。

何が起こったのか?ゴブ達は思ったが

答えられるゴブはいなかった。


しかし、蜂の巣から意気揚々とゴブミが

蜂蜜の入ったビンを持ち出てきた。

嬉しそうに抱えながら村へと帰るのをゴブ太達は見送る。


呆然としていたが、ゴブ太は女王蜂の身の心配を思いだし、急いで女王蜂の下へと急いだが、そこに巣の隅で泣きべそをかいた普段の言動からは考えられない、女王と言うより少女ような蜂が細かく震えていた。


声は掛けられずゴブ太達は自分達の村へと戻る。


翌日には、また蜂蜜採りが失敗し撃退される

と言う不名誉な伝令ゴブの報告を聞いた。

どうやら蜂の女王は持ち直したらしい。

心配はしたがまたもや甘味が遠退いてしまった事は悲しい事だ。



3日後、女王蜂がゴブの村へと訪れたと報告が来た、珍しい…いや初めてか。

そこには白旗を振り、プルプル震える女王の姿があった。全面降伏の申し入れだ。


どういった事があったのかは分からないが、

蜂蜜の切れたゴブミがまた蜂の巣へと向かったのは聞いている。それが答えなのだろう。


協議の結果。日に蜂蜜ビン2つ、採取時の戦闘は訓練を兼ねるため継続する。花畑は増やしゴブ達が水やりをする。等々後は、細かい事も多い。



帰り際に、女王から鬼神を巣へと連れてこないで欲しいと嘆願されたが、ゴブミ…


確認だかゴブミは衛生班で戦闘能力は殆ど無いとマスターが言っていた筈なのだが…。




(ゴブゴブ言うとります。)

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