あとがき
やっっっと書き終えることが出来ました……。
読んで下さっている方々。ごく少数だとは思いますが、ずいぶんお待たせしてしまって申し訳ありません。ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。
思えばこの作品を書くきっかけになったのは、二十五歳くらいのときの同窓会でした。
当時、スーパーのパートとして毎日パワハラを受け(当時はまだパワハラという概念はありませんでしたが)、一日に必ず何かのミスをし、自分自身にも世の中にも本当に嫌気がさしていたころ、友人たちは大学を出て、きちんと正社員として働き、いきなり課長職に就いた者もいました。
同じころ、確かNHKの番組で、ずっと植物状態だったアメリカの青年が、まったく違う用途として用いた薬の効果によって、反応を示すようになったというドキュメンタリーを見ました。もちろん、作中にあるような高度なレベルではなく、まばたきでYES/NOを答えたり、冗談に──ほんのわずかに──微笑んでみせたり、といった程度ではありますが。
しかしこれらも、薬の効果が効いている間だけの限定的なもので、果たして彼や彼らの家族はどう思っているのだろう、幸福なのだろうか、かえって不幸なのだろうか、と複雑な気持ちになったのを覚えています。
そうした『同じ時間を生きているのに、時間の流れや密度は人それぞれ違う』といった考えが、この作品を書くきっかけになっています。
そして友人たちと今の自分を比べて、毎日を焦りと鬱屈で過ごしていた日々に、ふと立ち寄ったコンビニの有線から流れてきたあの曲……。初めて聴いた瞬間、身体中が震えて泣き崩れそうになった感覚を今でも覚えています。執筆中、何度も繰り返し聴きながら、これ以上にこの作品にふさわしい曲はないと、ずいぶん救われてきました。
ともあれそんなことは関係なく、作品を読んで少しでも何かを感じ取って頂けたなら、それが作者にとっての一番の幸いです。
ではまた次の作品でお会いしましょう。今度こそ出来れば早いうちに……。
『ひかりをこえて』ED曲↓
https://youtu.be/YfcPVGt_v9E
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