閑話 首座様の愉快な仲間たち2

時系列で言うと、118 朗報と凶報2の頃の話。

作者のミスで入れるの忘れてました。

また、「閑話 次席補佐官の受難」を「閑話 首座様の愉快な仲間たち1」に変更しました。こちらもミスです。申し訳ありません。

重ね重ね失礼いたしました。



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2 娘婿その1 ルデラック公王


 可愛い妹の為、ソレルを留守にしたアリシアの代わりに父の補佐官を引き受けたはいいが、忙しさにかまけて何日も夫と顔を合わさずにいたのがいけなかったらしい。仕事の最中に押しかけて来たディエゴにルデラックの公邸へ半ば拉致されるように連れ戻されていた。

 もうどの位経っているのだろうか? シーナがだるい体を無理やり寝台から起こすと、自分でも恥ずかしくなるほど全身にちりばめられた赤い痕が目に飛び込んでくる。何か羽織る物を探すが何もなく、彼女はため息をつくと仕方なしに上掛けにくるまって再び寝台に体を横たえた。

 そこへ盆を手にしたディエゴが入って来る。

「おはよう、シーナ。今日も綺麗だよ」

「ディエゴ……」

 上掛けから顔だけ出して恨めしげに見上げるが、妙に上機嫌で肌艶のいい彼は気にもとめていない様子だ。彼女から上掛けを剥ぎ取ると優しく体を起こし、魔法の様に部屋着を取り出して彼女に着せかけた。

「もう……やめてって言ったのに……」

「君があまりにも可愛くて我慢できかなかったんだよ」

 悪びれる風も無く応えると、ディエゴは妻の額に口づけた。そして彼女に飲み物を飲ませたり、食事をさせたりと甲斐甲斐しく世話をする。だが、それだけでは飽き足らず、悪戯な手は彼女の肌をさりげなく撫でていく。

「ディエゴ」

 とがめるように夫を睨みつけるが、彼は見事に受け流す。そしてさっさと盆を片付けると寝台に座った彼女の隣に座り込む。

「怒った顔も可愛いよ」

「ディエゴ」

「シーナ可愛い……」

「私、怒っているのよ」

 妻の怒りなどどこ吹く風でディエゴはマイペースに彼女に触れて来る。シーナは夫の手から逃げようとするのだが、何分、まだ体が言う事をきかない。がっしりと肩を掴まれたかと思えば、そのまま押し倒されていた。

「やっぱり我慢できない」

「ちょっと、待って、ディエゴ!」

 シーナは抗議するが、彼は手際よく妻の体から部屋着を剥ぎ取っていた。

「ディエゴ、私、子供達の世話をしなきゃ……。仕事も……」

「ふーん、まだそんな事言う余裕があるんだ。じゃ、遠慮なく」

 自分も服を脱ぎ捨てると、ディエゴは妻の唇を塞ぎ、彼女を組み伏せていた。抵抗空しく、そのまま美味しく頂かれてしまったのだった。


 結局、シーナが仕事に復帰できたのはそれから5日後。その時になってようやくタランテラの状況が変わり、アレスが報告に来ていたことを彼女は知った。

 しかもその間、彼女に代わって夫が父親の補佐をしながらルデラックの膨大な仕事をこなしていたらしい。

 有能だけど、どこか残念なディエゴだった。



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