閑話 ジーンとリーガス愛の劇場7

フォルビアで警備の打ち合わせ中に妻が産気づいたと知らせを受けた。

周囲の勧めもあってすぐにロベリアに戻ったのだが、家の扉を開けた瞬間に赤子の泣き声が聞こえてきた。

慌てて寝室に赴くと、出産を終えたばかりとはとても思えないほど元気な妻が私に笑顔を向けてくれた。

「……生まれたのか?」

「ええ、男の子ですって」

「そうか……ありがとう」

妻を労わり、その額に口づけると、彼女は私の二の腕に触れてくる。

「どうした?」

「ううん」

元気そうにしてても、やはり疲れているのだろう。この腕で癒されると言うのならいくらでも触らせてやろうと、私は自分の腕に力を込めた。


ナデナデ……ナデナデ……


妻はうっとりとして私の腕を撫でまわす。

するとそこへ湯浴みを済ませた赤子が運ばれてきて、何と私に手渡してくる。

「おめでとうございます、旦那様。元気なご子息でございます」

「あ、ああ……」

手渡された赤子はあまりにも小さく、そして頼りないくらいに柔らかかった。

私はおっかなびっくり抱きかかえるが、つぶしてしまいそうですぐに妻に手渡した。

「ちっちゃい……」

赤子を抱いた妻はいとおしげに息子を眺めている。

6人の子供を引き取り、既に母となっている彼女ではあるが、やはり血を分けた子は愛しく感じるのだろう。

「ねえ、リーガス」

「何だ?」

「この子もあなたみたいなステキな筋肉がつくかしら?」

「鍛えればつくだろう」

「決めたわ、リーガス。私、もっと赤ちゃん産むわ。そしてみんな鍛えさせてステキな筋肉に囲まれて暮らすの。もちろん、ニコル達もね」

「……」

妻の夢は壮大だ。だが、協力するのはやぶさかではない。




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