第9話 隠れ鬼
「実は私、最近お菓子作りをはじめたんですけど、いろんな人の意見も聞きたくて。それで、先輩にたのみたいんですが、どうですか?」
面倒くさいな、正直。ここはうまく断ろう。
「クラスの友達に頼めば?」
「年上の人の意見も聞きたくて。」
「他のやつに頼んだら?」
「私人見知りで、きっかけがないと話せないんです。」
「じゃ自分がきっかけをつくってやるからそいつに........」
「えっ.........、そんな....」
浦澤はなぜか悲しそうな目をする。なんなんだ、こいつは。
「先輩に頼みたいんです!お願いします!」
「って言われてもな....」
「そこをなんとか‼︎」
「.........」
ここまで来たら、断るのが面倒くさそうだな。しかたない。
「.....はぁ。分かったよ。やってやるよ。」
「本当ですか!ありがとうございます!では、早速....
」
そう言って浦澤はポケットから携帯をとりだした。
「携帯番号、教えてください。」
「....分かった。」
そう言って浦澤と自分は携帯番号を交換した。
「やったー!交換できたー」
やけに嬉しそうだ。なんでそんなに嬉しいのかが知らないが。
てか浦澤と喋ってると少し疲れるな。もう帰っていいだろ。
「じゃ、今度こそ帰るわ。」
「はい、本当にありがとうございました。また連絡するので!」
「ああ。」
自分は屋上をあとにした。一応交換されているか見てみた。....『七人』、しっかりされているようだ。
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今日の五、六時間目はクラスの親睦を深めるために、体育の時間を使って、隠れ鬼をやるらしい。
「おっしゃーやるぞ!」
「どうするー、四人で逃げる?」
「いや、二手に別れた方がいいだろ。」
「確かに」
自分たち四人は最初逃げる側だったので始まる前に話し合っていた。途中、水嶋が話しかけて来た。
「なになにー話し合いしてるの?」
「は、はい!」
「一応勝ちにいくからねー」
「でも、私から逃げようとしても無駄だよー」
そう言って水嶋は自信満々に言う。確か羽島が言うには、運動神経もいいらしいな。
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結局、自分と紗羅、羽島と平山で別れた。
この隠れ鬼は最初、逃げる人が三分間の間に隠れて、そこからゲームが始まる。人数は半々に別れてる。
逃げれる場所は学校周りやグラウンドと、なかなか広い。
「奏って、こういうゲーム意外好きだよね。」
「そうか?」
まあ隠れ鬼は、ある意味戦略ゲームだしな。そう考えれば意外と楽しいかもな。
「そんなことより、なんでここに隠れたの?」
まあ普通は鬼のスタート地点のすぐ近くの場所に隠れるなんておかしいと思うよな。
「この場合、人間はスタートの近くにいるなんて思わないんだよ。」
「そうなの?」
「三十分しかなくて、広い範囲に逃げれるから鬼は遠いところから探そうとするんだよ」
「へ〜」
こう説明している間に、時間は十五分を切った。
このままいけそうだな。とか思ったらフラグになりそうだな。まあ、それはそれで面白いが。
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