第34話奇跡!? 晃の決意!


 アリシアが悪魔公爵アスタロトの左足を左手で掴んだまま放った、火属性の最上級爆裂魔法メガフレアが彼の下半身を消失させた!


 白目を剥いたアスタロトの上半身の死体が落ちてくる手前には、アリシアが煉獄の炎に包まれていた……。


 晃達は全員、直視に耐えられずうつむき……。


 泣きじゃくる沙羅、葵、桜……。


「どうして……こんなことに」愕然とした表情のルークがつぶやく。


「なんでこんな事にならなくちゃいけないんだ……」悔しさと後悔が入り混じりながら晃の瞳にも涙が溢れてきた。






 その時、アナウンスが響いた!

「命の精霊石が割れました」

 アリシアのいた場所が光輝き始めた!


 にこやかにアリシアが復活、「たっだいまー!みんな元気してる? 私の演技どうだった?」


 みんなは、あんぐり口を開けて「……」ただただ声が出ない……。


 沙羅、葵、桜がアリシアに抱きつく……。

「ううう……」「うう……」

 泣きじゃくる彼女達は言葉にならないうめき声を発している。

 少し落ちついた沙羅はアリシアに

「良かった! でもなんで?」

アリシアが「ダンジョンの入り口で晃に命の精霊石をプレゼントしてもらっていたからな!」


 晃が「あ! そうだ、命がなくなる様な強い攻撃に対して身代わりになって割れる石だった、アリシアの迫真の演技に騙されて、すっかり忘れてたわ……それにリヴァイアサンの仇って?」

「もちろんリヴァイアサンが復活することはわかっておったぞ……てへ!」


「ちょ! どれだけ悲しんだかわかる!」

「涙を返して欲しいでござるよ!」

「今まで生きてきた中で最大の悲しみを味わいましたわ、ほほほほ! 罰として龍ヶ崎グループのイメージモデル続けてもらいたいですわ! アリシアさんとルークさんがモデルを務めたファションモールのホームページすごい反響ですのよ、

 あのエルフに扮したモデルは誰なの? ってあちこちの芸能事務所から問い合わせが絶えないのですわ、ほほほほ!」


「それもいいかもな! 演技力を磨いてモデルから声優、女優へステップアップするぞ!」


「声優が混ざってるところが、アニオタのアリシアらしいね! アリシアさんなら人気バーチャルアイドルになれるよ、ははは」

「キャハハ!」

「はははは!」

「おほほほ!」

 みんなが笑顔に変わり雰囲気が一点、和やかな

空気に……。


 その時ルークが「どうやら、まだ終わってなさそうだぞ……」ルークがアスタロトの上半身を指さす。


 ルークの指さした先のアスタロトの上半身から闇のオーラが噴出し始めており、尚且つ下半身が光に包まれている。

 それを見た晃は「まずい! 再生するぞ! 攻撃だ!」と弓矢を取り出し矢を射る。


 ルーク、桜もすかさず矢を一斉に発射した。


 矢がアスタロトに命中する直前跳ね返された、

闇のオーラがバリアの様に弓矢を妨げて攻撃を通さない様である、そりゃそうだわな再生中に倒せてしまうんじゃ、ゲームシステム的にどうかな?

 と思われ、晃は慌てて指示を叫んだ!

「みんな! 再生中は攻撃がバリアに跳ね返されるみたいだ! 今のうちにポーション一気飲みで回復に努めてくれ!」


「わかった!」

「わかりましてよ!」

「まだまだ戦いが続くのね!」


 みんな慌ててハイポーションやフルポーションガブ飲みに徹している。


 その甲斐もあり、全員回復は成功した様子である!


 そしてアスタロトを見やる、下半身完全再生に成功した彼が、ドス黒いオーラを放ちながら佇んでいた……。

 「エルフの女剣士よ、俺様の肉体をよくも……許さんぞ!」


 晃の中にはこの時点で、ある結論に達していた

「アリシアさんの命の精霊石が割れたからには、全員の無事を最優先します。一旦戦略的に撤退!  他のパーティーの到着を待ってアスタロトにレイドパーティーを組んで挑み直しましょう!」


 沙羅が「当然よね! アリシアさんの命が大事だもの!」

「もちろんですわ! 龍ヶ崎グループのイメージモデルに何かあったら大変ですわ!」と葵。

 ルークも「アリシアのためにすまん! 他のパーティと組んでやり直すか!」

アリシアが「私のためにすまない!」


 晃が「仕方ないさ! 最強パーティーであるユリウス隊でも他のパーティーとレイド組んでやっとクリアした相手らしいし……予定通りみたいなものです! まずは沙羅、葵、桜がアリシアを守りながら撤収、コタローの回収もよろしく! ルークと僕で奴を足止めしながら、最後に撤退の順序で行きます!」


「了解!」

「わかったでござる!」

「承知しましたわ!」


 他のパーティーと合流してレイドでアスタロトに挑み直す決意をした晃達であったが、これから想像を超える悲劇が待ち構えていようとは、誰も知るよしもなかった……。








 

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