第33話アリシアの悲しき決断……。


 晃達の目前に立ち塞がる悪魔公爵にして魔王直属の幹部であるアスタロト。


 翼こそ晃の活躍で失ったものの、まだほとんどHPゲージが減っていない万全の状態である。


 また、悪魔の中でも最上級に位置するだけにMP切れの期待も出来そうにない……。


 晃が仲間を見渡すと空中戦の間に回復を終えたようである。そういえば葵の大楯がいつもの愛用の盾と違う、聖母マリア様の絵が描かれ7色のオーラを放っている。


「葵さん大楯変えました?」


「さっき愛用の盾をボコボコにされましたもの、

この盾はアーサー王の盾プリトウェンですわ、

もちろん星7レアですわよ、かなりガチャ回しまして当てましたわよ、ほほほほ」


「……さすが大金持ちのお嬢様! よし、アスタロトの爆裂魔法や魔剣グラムの必殺スキルのダークカッターは葵さんの大楯で防げるみたいだから、直接攻撃は僕の妖刀とアリシアの剣で防ぎ、魔法やスキルは葵さんが前に出て防ぐ布陣で行く!

 ルークと桜は弓で後方支援しながら葵が吹き飛ばされないように背中を押してあげてくれ!」


「分かった!」

「了解でござる、晃お師匠!」


沙羅が「私は?」


「沙羅は後方からロンギヌスの必殺スキルである呪いの呪縛で奴のスピードを減速させてくれ!」

「ラジャー!」


 アスタロトが不敵な笑みを浮かべながら「作戦会議は済んだようだな! 殲滅させて頂こう!」


 大ジャンプとともに魔剣グラムで襲いかかる!

アリシアと晃が前に出て、受け太刀をする。


 そしてアリシアと晃はチェンジを繰り返し、アスタロトの怒涛の攻撃に互角に渡り合う!


 隙をみてはルーク、桜から魔法を帯びた矢がアスタロトに連射され、かろうじて避けられたが、

彼の表情から笑みが消え始めている。


 魔剣グラムの闇のオーラが大きくなっている、

「必殺スキルくるぞ!」晃の掛け声にアリシアが

「了解!」


 晃とアリシアは魔剣グラムの切っ先を後方ジャンプでかわす!


 魔剣グラムから6本の闇の筋状のカッターが放たれた。

 その攻撃に対して前に出てきた葵がレジェンダリーシールドであるプリトウェンでしっかりと受け止めた!


 大楯の後ろから沙羅は魔槍ロンギヌスでアスタロトに向けて突きを繰り出す!


 先端はよけられたが、ロンギヌスの槍の必殺スキル〔呪いの呪縛〕がアスタロトに効果を及ぼす。

「なんだと悪魔であるこの私に呪いだと! 

その槍はなんなんだ!」


「よし、30秒間は奴の動きが20パーセント低下する、一気にたたみかけるぞ!」と晃が叫ぶ!

「おしてまいるでござる!」

「了解!」

「さあチャンスだ!」みんなも本気モード全開!


アリシアが刀剣乱舞でダンスのように踊りながら素早い突きを繰り出す、晃も違う角度から同時攻撃で燕返しなどの剣術スキルを駆使して攻める!


 そこに桜とルークの弓矢がアスタロトに襲いかかり、左腕にルークの放った矢が見事に命中した。


 アスタロトの顔が怒りの表情に豹変し、

「畜生! この俺様が……ザコどもに傷を……」

奴の黒いオーラがさらに濃く大きくなって行く!


 矢が刺さったままの左腕の指をパチンと鳴らす!

「その技は見た、みんな! ジャンプで回避だ!」

 晃の掛け声と同時に地面が大爆発を起こした!

 

 警告に従い、みんなは空中に無事逃れられたようだ、

「ふははは! 空中では回避できまい……ダークフレアボム!」

 そこにダークフレアボムの黒色爆球が晃達に無数に放たれた!

 空中では回避が出来ない晃達はそれぞれの武器や盾で防ぐのが精々であった……。


 凄まじい音響と共に大爆発があちこちで起きている。刀や剣やロッドで爆破を受けた晃、アリシア、桜、ルークはもちろん、盾で受けた葵、沙羅も直撃はかろうじて避けたが、至近距離の爆発でダメージを負い、床に叩きつけられていた……。


「力の差を思い知ったか! はははは! さあ殲滅だ、闇に集いし魔の眷属どもよ、地獄の業を纏いし針にて奴らを貫きたまえ! ダークニードル!」


 床に叩きつけられた衝撃で体勢を整えていない晃達に容赦なく闇の針が無数に襲いかかって来た!

 晃は半身を起こすが、右腕の小手で急所への直撃を避けるのがやっとであった、下半身からは血があふれ出している、HPは残り40パーセントまで減っている……。


 周りを見渡す……みんな同じような状況で、特に防具を付けていないアリシアが一番酷い有様で

HPが残り20パーセントとなっていた!


 アリシアに近づいて回復魔法をかけなきゃ……晃は必死に立ち上がろうとする。


 アスタロトがアリシアを攻撃しようとジャンプした「どうやら最初の獲物はお前だ! エルフの剣士よ!」


 ジャンプしながら魔剣グラムが上段からアリシアに振り下ろされた!

 ガッキーン! 金属音と共にかろうじて立ち上がったアリシアが受け太刀をしている、しかし……怪我のために、アリシアの剣技に鋭さが無い、押され始めている。


 アリシアを助けようと晃達も立ち上がるが、足を傷つけられているため、足を引きずりながら接近しようとしていた……。


 その時アリシアの口から詠唱が始まった!

「ふっ! もはやここまでか……火の精霊よ、仲間を率いて集まりたまえ……」 


 その詠唱を聞いたルークがすかさず「その呪文は……アリシア爆裂魔法撃つな! カウンターを喰らったら死ぬぞ!」


「兄者、ゼロ距離なら大丈夫さ! リヴァイアサンの仇もあるしな……」


 ルークが「やめろアリシア! 自爆する気か?」


 それを聞いた晃が「やめるんだアリシアー! これはゲームなんだ! 悲しい経験をするための場じゃあないんだ!」


 アリシアが晃に向かって微笑みながら「晃! アキバで食べたハンバーグ美味しかったぞ……」

 

会話を聞いてた沙羅達も這いながら、

「やめて! アリシアさん」

「アリシアさん、行かないで!」


 ただならぬ気配を察知したアスタロトも後方にジャンプし、アリシアから距離を置こうとする、

アリシアもジャンプしアスタロトの足を掴んだ。


「捕まえたぞ……桜、コタローの世話よろしくな……爆炎を以って奴らを滅せよ! メガフレア!」


 閃光と共に大爆発が発生! アスタロトの下半身が爆発で消え去る……アリシアも爆炎の中に包まれている!


 「ウォーーン!」後方からコタローの悲痛な遠吠えが聞こえた……。


 


 

 


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