一話完結の短編

宇宙人!? そんなのいるわけねえだろ!

冬の日に出会うUMA

 ゆっくりと雪降る、登校途中だった。

 そいつはひょろりと長い指をタイガとコトリへと伸ばし、言った。

「ワレハ、シンリャクシャ、ナリ」

 すると、タイガはどこからともなく虫取り網を取り出し、振りかぶった。ばさり、と銀色の生命体が網に収まる。二人の地球人は安堵と歓喜に飛び上がった。

「ヤッター!十六夜高等学校、初の快挙だー!」

「だね!そんな狭い範囲限定の快挙ではないと思うけど!」

 しかし、その時グレイっぽい生命体から、後光にも似た光が発せられた。

「ひい!やっぱこんなことしたら、ヤバかったか?」

「タイガ、逃げよ!」

「……コトリ!足元やべえぞ!氷、張ってる!」

 本日、冬。凍てつく朝。転倒者、コトリさん。

「なんでこんな道路に大々的な氷が!」

「あ、ここんちのじいちゃん。夏場、水撒きすんだけど、もうそれが習慣づいちゃって、たまに冬も水まいちゃうんだよな。知らんかったん?」

「知るわけないでしょ!」

「すまん!さすってやろうか?」

「悪いけど、全然キュンと来ない」

「どうせフラグには無縁の男だよ!」

「ん?さっきのは?」

 その地球外知的生命体は、うごうごとアスファルトで蠢いていた。

 本日の氷での2度目の転倒者、地球外知的生命体さん。

「あの〜大丈夫ですか?」

 タイガは手を差し伸べ、蠢く生命体を引っ張り起こした。

「…シンリャクシニキテ、シンリャクサレルガワニ、タスケラレトハナ。そのサムライスピリッツ。マダウシナワレテ、イナカッタカ」

「ただの侍クラスタじゃねえか!ファンか!」

 灰色の空より近付いてきた、銀色に輝く円盤のようなもの。

「オシイ。マダ、ユウヨヲアタエヨウ。サラバ」

 そこから伸びてきた、光の帯に吸い込まれ、地球外知的生命体は、空の彼方へと消えて行った。

 2人は顔を見合わせ、そして叫んだ。

「あっ!遅刻だああああ!」

 2人は、地球外知的生命体にあった記憶をすっかり無くしてしまっていた。




おわり

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