第68話  醒めない夢

68.

~果歩が消えた日から 19



達ちゃんから会おうって連絡があった。

 なんだか相変わらず暗い雰囲気を纏ってたけど

きっと仕事上手くいってないのかもね。


 私と会ったら元気でるわよっ? 達ちゃん!



・・・



 「結婚できないってどういうこと? 達っちゃんあんなに

楽しみにしてたじゃない。1年待たせてごめん。待たせた

こと怒ってるの? 」




  「それは関係ない。1年待つのは正直寂しかったけどね。

問題はそこじゃない。友紀の気持ちと行動が問題なんだよ」




 「・・何言いたいのか判んない、はっきり言って」



 「もうね、あらかたのことは知ってるんだよ。

 妊娠--堕胎--男との同棲--別れ--

どう? この4つのキーワード思い当たる節、アリアリだろ? 」




 「な・に・・言ってンのかワカンナイよ」




 「友紀は俺のことなんてぜんぜん好きじゃなかったんだな。

 なのに何で今更結婚したいの?

 ATMにちょうどいいからなのか? 

 お前さぁ、かわいいからATM扱いでいい男ならすぐ

見つけられるだろ、他を当たって」




「何よ達ちゃんのクセに・・達彦のクセに・・。いつも

私のこと好き好きって言ってて死ぬほど好きって言ってた

じゃん。

 なのに何なの? その上から目線。似合わないよ? 」



 「惚れた方の負けってか? 1年待ってる間に俺のことが

好きだって言ってくれる子ができたんだぁ、じ・つ・は。

 困ったなぁ~なんて思ってたら友紀の情報が入って

きてさ、なぁ~んだ迷う必要ないじゃんって、友紀に

操立てる必要ないじゃんってなって、今その子と

付き合ってる。だからもうお前はいらない。


 だいたいなにぃ~? お前謝りもしないで。

 人としてどうなの? 他の男と同棲して妊娠までして。

 俺っていう婚約者がいながらよぉぉ。普通バレたら

ごめんなさいって謝るのが筋だろ? 大変な裏切り行為を

しておきながらごめんのひと言も言えない人とは結婚でき

ないね。友紀、俺ほんとに怒ってるから」



「達っちゃん、ごめん。一時の気の迷いだったん

だってばぁ。ごめんなさい、私達っちゃんが好きなの。

 達っちゃんと結婚したいよぉ~。

お願い、私を選んで」グスグス



 俺はまだ友紀のことが好きなのかもしれない・・けれど

このまま俺と彼女が結婚してもお互い幸せにはなれない

ような気がした。


 俺は彼女を頑として受け入れず、彼女の両親と自分の両親

を召集してこれまでの経緯を話して婚約を解消した。



 ちなみに俺に新しい彼女がいると話したのは真っ赤な嘘。

 少しは友紀をぎゃふんといわせないとな、やられっぱなし

じゃ、ね?



 だけど、最近友達に紹介された子といい感じなんで

まんざら真っ赤な嘘でもないかも。まだ自分は若いし焦らず

いい交際を続けていけたらと思ってる。



 友紀は俺の青春そのものだった。それなのに

 自分から友紀に別れを告げる日が来ようとは・・。



 Bye Bye 友紀。





 

 

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