第34話 醒めない夢
34.
~深山康文と果歩の結婚生活 (31)
それとそのうちふたりが奥の倉庫代わりにしている
部屋に入ると小1時間ほど出てこなかったりすることもあって
嫌な感じで過ごしたりしていたそうだ。
「時々ふたりが奥の倉庫に一緒に入って行くようになって
・・で一緒に入る回数も少しずつ増えていって
私だけに店を任せて長い時間、出てこなくなったんですよね。
この頃かな、オーナーの仕事振りにも変化がありました。
在庫補充が滞りがちになっていって。私が運べない重い
商品である荷物も倉庫に溜まったままだったり。
あきらかに仲間さんに気をとられていて、仕事は二の次
三の次って感じになってましたね」
もうこのあたりで斉藤さんはお母さんが退院しても
うちの店は辞めようと決心してたらしい。
そして決定的だったのが・・・
「それで仲間さんとオーナーがどんどん親密な感じに
なっていって、そしたらですね仲間さん私に横柄な態度で
接してくるようになったんですよ。10代の小娘に威張られて
流石に看過できませんでしたのでオーナーに言おう、そう
思いました」
「夫はなんと?」
「言わなかったんです、いえ・・言えなかったンです」
そう斉藤さんは悔しげに言った。
仲間友紀はその後夫がいる前でも斉藤さんに同じような
態度をするようになったのだとか・・。
なのに夫は見てみぬ振り。
注意するどころか仲間友紀に同調するような素振りを
見せ始めた為、居たたまれず、そして又ふたりが不潔な
関係に思えて辞めることにしたそうだ。
不潔な関係と斉藤さんは言ったけれど、ほんとに
まさに言い得て妙だと私も思った。
不潔な奴ら・・・。
私は斉藤さんに今までの心ばかりのお礼を渡して
別れた。
トボトボ帰る家までの道すがら、何度も何度も私は
不潔な奴ら、不潔な奴ら、と呪文のように呟いた。
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