第13話 醒めない夢
13.
~深山康文と果歩の結婚生活 ⑩
動揺と帰国命令
なさけないことに、正直夫への未練がまだある。
それと娘を抱えてシングルマザーで生きていくことへの不安も
あって、気持ちはグタグダ。
果歩、なにやってんの?
しっかりするのよ。
あなたにはちゃんとした仕事がある。
娘もいて、独りじゃないのよ。
最悪を考えて行動したって怖いものなんかないよ。
大丈夫・・だいじょうぶだから。
Jumpするのよ、しっかりなさい!!
私は不安を払拭するべく、自分を鼓舞した。
ここまでコケにされてるのに、泣き寝入りして
愛人なんか作られたまま、世間を取り繕って生きていくつもり?
妻を舐めてたらどういうことになるか
目にもの見せてくれるわ(ぃ)。
フンガァ~ 鼻息荒く私は遠く離れたところにいる
裏切り者へ向けて息巻いた。
海外にも事務所を構えているという興信所に依頼した。
興信所もグローバル化しているようで助かる。
こちらからわざわざ人を派遣するとなると、それだけ経費が
跳ね上がると思うから。
同棲しているので調査は短期間であっけなく片がついた。
証拠が揃っちゃったんだよね・・予想を超える速度で。
私は弁護士を雇い、夫の会社の上司そして義両親等
話し合いの席に同行してもらい解決を図った。
私ひとりでは会社に対して上手く説明できるか自信が
なかったし義両親に対しても100%息子のことを謝罪して
くれるかどうかも自信がなかったので弁護士に対応を
お願いした。
義両親に息子の浮気は嫁のせい、なんて非難&擁護された
日には立ち直れそうになかった。
また企業によっては、浮気ごときでホニャララ、そんなもん
あんたたちで勝手にしてよぉ~っていうところもあると
聞いたことがあったので。
ほんと私って石橋叩いて亘るタイプ。
世間というものは弱い者叩きする輩が一定数いることを
知ってるから、保険をかけた。
弁護士の力は偉大だ。
それと元々夫の勤める総合商社には、そういう揉め事が必ず
年単位で昔からぽろぽろあるようで、専門対策チームじゃ
ないけれどそういうの専門に対応している部署と担当者がいた。
その為、会社の対応は素早かった。
即刻夫には帰国命令が出されたのだった。
それは一時帰国ではなく、身辺整理をしての
完全撤収型帰国命令だった。
万が一、夫が向こうで女性関係で何かやらかさぬよう
会社は帰国命令の理由を社の諸事情という形で帰国させた。
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