第15話『これだけ読めばOK!総集編』

 時に、西暦2098年。

 世界は人類存亡を賭けた最終戦争のさなかにあった。

 敵の名は、パラレイド。

 次元転移ディストーション・リープで時間も空間も問わず現れる、謎の機動兵器群……国を大地ごと消し飛ばし、何度も地図を過去の遺物へと更新し続ける脅威。それがパラレイド。

 全地球規模で戦争が日常化した中、学生達もまた幼年兵ようねんへいとして戦っていた。

 女子供、一般人でも馴染みやすい主力兵器は、人の姿をしたパンツァー・モータロイド。通称PMRパメラは全高7メートル前後の人型機動兵器ロボット、戦場の主役である。

 少年少女たちは今、鋼の防人さきもりへと魂をともして戦う。

 いざ、鈍色にびいろの青春を突き抜けて……未来に、あらがえ!


 消滅した北海道、地獄の最前線から帰還した男……摺木統矢スルギトウヤ皇立兵練予備校こうりつへいれんよびこう青森校区あおもりこうくへと転校してきた彼は、戦死した幼馴染の更紗サラサりんなから機体を引き継ぐ。

 大破し擱座かくざしたそのPMRは、97式【氷蓮ひょうれん】……本土ではパーツ調達もままならない、北海道戦線に集中して先行配備されていた最新鋭機だ。

 復讐心を憎悪で燃やし、全てを憎んで【氷蓮】を修理する統矢。

 そんな彼を不思議と助けてくれる、クラス委員の五百雀千雪イオジャクチユキ。彼女がほのかに寄せる恋慕れんぼの情にも気付かぬまま、統矢は千雪の力を借りて【氷蓮】を蘇らせた。そして、エースだけを選抜した戦技教導部せんぎきょうどうぶの仲間たちと共に、パラレイドとの戦いを再び始める。そして、セラフ級と呼ばれる一騎当千の人型巨大パラレイドを次々とほふるのだった。


 そんな中で、悲劇と真実が統矢を襲う。

 作戦中に太平洋上の孤島に取り残された統矢は、友軍機と思しき戦闘機のパイロット、レイル・スルール大尉と出会う。無人島に二人きり、自然とサバイバルを生き抜く中で心を通わせ合うかに見えた少年少女。

 だが、レイルの正体には恐るべき秘密があった。

 そう、レイルはパラレイドの人間、セラフ級のパイロットなのだ。

 そして、統矢達は知る……。今とは異なる世界線の未来、異星人との星間戦争に敗北した、もう一人の摺木統矢大佐がパラレイドの首魁しゅかいなのだ。

 パラレイドとして過去の統矢達を襲う人間は、人類に戦争という名の試練を与え、DUSTERダスター能力者を強制的に覚醒かくせいさせようとしている。そして、目覚めたDUSTER能力者で軍を再編成し、再び未来へ戻って異星人と戦おうというのだ。

 その真実を更紗れんふぁに知らされる中、ショックを受ける統矢。

 だが、その横には寄り添う千雪の姿があった。

 ようやく互いの気持ちを打ち明け、恋人同士になる二人。

 だが、過酷な運命が二人を分かつ。

 レイルの乗るセラフ級パラレイド、メタトロン……原初のセラフ級にして最強の機体を前に、統矢達は苦戦しながらも勝利を収める。だが、メタトロンはコクピットブロックが戦闘機に変形可能な分離構造をしており、大破した上半身と下半身を捨てて新たなパーツを呼び出した。そして、パワーアップしたメタトロンと同時に、恐るべき光景が広がる。

 とうとうパラレイドは、量産型とも言える無数のセラフ級人型兵器を投入してくる。

 今までの無人兵器とは違う戦いに、苦戦する統矢。

 その時……戦略兵器Gx反応弾ジンキ・ニュークリアが島ごとメタトロンを消滅させるべく放たれた。

 ギリギリの撤退を強いられる中、損傷機でメタトロンと戦う千雪。

 彼女の凛冽りんれつたる決意と恋心は、メタトロンごと爆発の中へ消えた。

 そして、再び統矢は暗き炎の復讐者アヴェンジャーとして戦い続ける。千雪の死が銃爪トリガーとなり、常にDUSTER能力が発現しっぱなしになってしまう。そのまま彼は全国総合競戦演習ぜんこくそうごうきょうせんえんしゅうに参加し、襲ってきた巨大戦艦型のパラレイドとも富士の裾野すそので戦う。

 出会いと再会、そして散華……散りゆく生命の中で生命を燃やす統矢。

 そんな彼を救うべく、再びあの少女が風となって舞い降りる!

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