黒猫の
夏の早朝、自転車で会社に向かっていた時の話。
線路沿いの長い一本道を走り終わり、スピードを落としながら左折して、高架下に入った。
すると、薄暗い中、眼鏡をかけた若い女が立っており、両腕で黒猫を抱いている。
もちろん、それは見間違いで、猫だと思ったのは、女の長い髪であった。
右前に垂らした髪をまとめ、赤子をあやすようなしぐさをしていた。
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