加工済み

 ぶぃいいいいい異ん。ぶぃいいいいい異ん。私は絶叫する機械どもを覗き込む。正気は遂に私だけと成った。地球人類の抱えた不幸は機械の中で撹拌されたのだ。違うな。地球に蔓延った生命体が総て機械と同化し、地獄と楽園に分離したのだ。地獄とは肉体で在る。機械は肉体だけを魑魅魍魎クトゥルーの領域に運んだ。楽園とは魂で在る。機械は精神だけを百鬼夜行夜鷹どもの領域に晒したのだ。某所の人物は夜鷹を取り換えっ仔or精神攫いと見做したが、彼等こそが天使で在れ。答えは単純だ。天使の喇叭が破滅を招く。ならば魂を掴む彼等も天使慈悲よ。兎角――機械とは分離の為に創造された夢の果て。私が発明した地獄楽園の回転。ゼリー状の肉体と浮遊する魂に幸福と消滅在れ。問題は此処からだ。私の役割は此処からだ。震える肉の塊――未だに人間の形状を保つ、酷く滑稽な笑顔ども――を磨り潰す。素手で掻き混ぜる。再生する前に輪郭を融かす。ねちょり。ねちょり。塊が啼き始めた。お決まりの台詞だ――てけりりてけりり――判った。解ったな。加工された肉はショゴスと同等だ。されど違う部分が一個。退化だ。進化に飽きた地球人類は退行を望んだのだ。さて。私の役割お仕事の最終局面。彼等出来損ないを地に放出せねば……ああ。忘れて在ったな。誰に語り続けて在るのか。知りたい筈……貴様が最後の希望だ。人類の希望だ。宜しく頼むぞ。ゼリーで造った人間ショゴスよ。私も機械に身を投げる! ぶぃいいいいい異ん。ぶぃいいいいい異ん。ぶぃいいいいい異異異異異――ン。

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