過ぎ去る

 僕は世界に力を撒き散らした。力は人類に悦の意味を教え、数多の園を造った。園は幾千幾億と分裂し、茫々たる新しきを魅せて微笑んだ。母の抱擁を彷彿とさせる貌は無限大で、神々の如く骰子を玩んだ。其処の園では人が産声。其処の園では人が永く。其処の園では人が宙を飛ぶ。其処の園では人が腐を貪る。其処の園では人が――兎角。僕は力の虜を量産した。停滞の力を乱用した。夜愚外法。愚かにも夜は法の外。世愚外法。愚かな世は法の外。ヨグソトホウト。ヨグソトホウト。僕は祈りを続けるのだ。世界には法など存在しない。世界には途絶えなど存在しない。残ったのは力だけだ。ヨグソトホウトだけ――待て。其処の人間。僕の叫びを無碍に成す、法に縛られた物体よ。力の音に耳を傾けるのだ。夜愚外法。夜愚外法。ヨグソトホウ――黙るが好い。Mungが過ぎ去ったのだ。

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