入れる。要れる。容れる――引き摺る秩序――私は最初の悪夢で在り――無眼を開く虚空に、晒して魅せよう。彼が現れたのは何時だったか。誰の貌にも綴られず、最早『混沌』は死んで終った。目眩くばかりの闇は死に絶え、輝く世界で我々は守護される。其処に幸福など無く。其処に不幸など無く。人間は光に抱擁された。目玉の如き列車の影が、我々に神の到来を沈黙で報せる。筆を掴んだ怪奇作家ブレイクは絶叫し、彼は永劫の幸福闇黒に攫われた――ああ。羨ましい。私の心を埋めたのは、邪聖も融けて往く、悪夢に気付いた『人』の真理性で在り、箱の中身を解放し続ける『手繰り』と成ったものだ。箱。それだ。私を閉ざした蓋の無い、全き感情の深層で……視るが好い。底には何が在る。未知が在った筈だ。箱の中身は認識され、既知の烙印を押されたのだ。酷い当然で在れ! 私は底に映された、私自身のも視た。私はしたのだ。鬼面像など在り得ない。叫ぶ愚痴なる存在も有り得ない。否。確かに彼等は在り得たが、偉大なる価値を失った――其処にはが在る。

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