枯れ堕ちる
一面は赤に染まらず、枯れた白の侵蝕が始まった。空は蒼の抱擁に悦び、覗かれた水の流れは眩暈の如く。世界は此処に収束され、私は双眸に映る『もの』に恐怖を覚えた。ああ。私は『殺される寸前の赤』を観察して在るのだ。悲鳴と諦めの混濁する状況で、赤は如何に想うのだろうか。総ては破滅願望の成した、偏見的な思考だ。私は脳髄を鎮めるべく、首を激しく左右させ――目眩は治まらず。兎に角。私には休息が必要だ。此処以外の空間で呼吸を整えねば。ぐらつく頭を抑えねば。私は逃れるように。這うように。幽鬼の如く歩んで往き――遂に私は狂ったのだ。旧い建築物……木製の門を幻視した。赤と白が融けて逝き、門が黒で呑み込んだ。私も塗り潰され。私も呑まれ。門の底へと堕ちて!
――狂の都は
――さあ。階段を。
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