2014/11/11 12:40:22

 昨日見た夢がどうも引っ掛かる。私を殺したのは用務員じゃない、お前の言う先輩に相談してみろ。せっかく答えを教えてもらったのに謎が深まってしまった。昼時、ご飯を食べ終えてからぼんやりとテレビを見ていた。


「用務員さんが死体を隠すだなんて物騒ね。そう思わない?」


 母さんの小言も耳に入ってこない。上の空で「そうだね」とだけ返した。ご飯は少しだけ味がするようになった。洗い物をしている音がする。このまま、何も言わずに出て行ったら母は驚くだろうか。もちろん、そうなってほしいし怒ってほしかった。ささやかな反抗と好奇心。スマートフォンと財布だけを持って、こっそりと玄関から外へ出た。

 どんよりと曇り空の下、行くあてもなく適当に歩く。いつもなら気になる誰かの目も、誰かの声も今は気にならなかった。イヤフォンで音楽を聞きながら歩く、というのはこんなにも快適なものだったのか。上機嫌なまま、たどり着いたのは学院だった。

 そういえば、小林先輩が何年も留年している噂は何だったんだろう。あのような誰も得をしない話が、どうして広まっていたのだろう。まあ、いいか。吐く息が白い。短い散歩だったけど大満足だ。学院に背を向けて家に帰ろうとした時、ぐいっと手を引っ張られた。反射的に振り返る。



「やあ、名探偵」

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