中澤詠美の告白

作者 高羽慧

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★★★ Excellent!!!

回りくどいという概念を通り越して新しいブンガクを作ってしまいそうな勢いをどことなく秘めています。

学生のくだらない会話の様ですが、内容がシブイですね。
中島敦さんが会話の中に出てきたリ、山月記が教科書に載ってるからアリなのかもしれませんが、さらっと会話に出てくるなんて。
家に帰って、聞いた内容を調べようとするのに中世の歴史の勉強に励んじゃったり、学生なのだから当然なんですが、大人になってそんなことしないなと考えたら、クスリと笑えてしまう。そんな情景がちょっと懐かしく、面白く感じました。

★★★ Excellent!!!

ふたりでとり行う会話を成り立たせるためには、
まず二人のうちどちらかが口を開き、
受けた側のもう一人が、その口を開いた相手に対して、
何かしらの反応(=返事)をする必要があります。


中澤詠美さんが口を開きます。
彼女の口から飛び出す言葉をボールに例えると、
彼女は暴投します。

意図したうえでしているのかは不明なのですが、
彼女は暴投します。

暴投して、それから、
暴投します。

それもちょっとやそっとの暴投ではありません。
見ている誰もがボールを見失ってしまうくらい、
暴投します。

それどころか、
そもそもボールが本当に存在していたのか疑わしくなるくらい、
暴投します。

最後に、もう一度、
暴投しました。


さて、そんな中澤詠美さんの投げるボールを、
彼はキャッチします。
そして投げ返します。
ちゃんと彼女がいるところに、返します。

中澤詠美さんはさらにボールを投げます。
彼はまたキャッチします。
そして再度、投げ返します。
今回も、返球は正確です。


尚也くんのツッコミに、しびれて憧れてください。

★★ Very Good!!

中澤詠美の告白は、回りくどいとか迂回しているとかいうレベルではない。

「回りくど」かったり「迂回して」たりというのは少なくとも目的地には向かっているハズなわけだが、彼女の話はもはや、目的地がどこにあるのかすら分からず、いや目的地どころか意味があるのかすら分からず、歪んだ時計が合っているのかどうかもわからない時間を指し示している世界の中にいるかのような気分にさせられる。

毎日毎日昼休みの予習中に「独り言にしとけよ!」と突っ込みたくなるような告白(?)を聞かされながらもピンポイントで突っ込む主人公がまた、彼女の理解者は彼しかいないんじゃないかと思わせ、ちょっと微笑ましくもある。

そんな日常的な一コマを切り取った非日常系のこの話は、疲れた頭をほぐすのにはあまり役に立たずむしろ読み手を混迷の渦に巻き込むのは間違いないからこそ
疲れた時に読みたくなる「いけないお薬」のようなもの。


ああ、自分で書いてて回りくどい……。
でも読んだらこんな気分になるんです不思議な魅力です。


彼女の「告白」が成就する日は来るのか?
もちろん私は知らないし、たぶん作者様だって知らないんだろうな。

★★★ Excellent!!!

毎日、昼食時に繰り広げられる「告白」。

それが、主人公に伝わらないのは、詠美の告白が「まわりくどい」からっ!

いつ!?
いつ、伝わるのっ!?

そんなじれったさを含みながらも、爆笑を交えた高校生の昼休み風景には、ほんわかした雰囲気が味わえます。