今は冬ですが、夏に読めば、ちょっとゾクッとした、ひんやりとした気分に、慣れる気が、しました。
「丸を描く」という何気ない行為が非日常につながっているということになんとも言えない不安を感じます。個人的には終盤の現在の「僕」の語りが一番ゾッとしました…
幼い頃の記憶を元に綴られた物語。田舎で出会った女の子に、丸を書いてとせがまれ、実際に丸を書くと……雰囲気のある文体と描写でとても面白く、そして体を震わせながら読み進めました。個人的には、第2話の作者の自分語り的な後記も好みです。すごく楽しめました。読み終わると、どこか遠くのほうから「ひぃぃるぅ、ひぃぃる」と聞こえてきそうな気がします……
帰省中の田舎で出会った、知らない女の子。その子は、地面に丸を描いていた。その意味を知る時……貴方ももう二度と丸を描けなくなるかもしれない。