あきらめない! 三年かけてバスに乗る。

作者 陽麻

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★★★ Excellent!!!

この作品は、ある精神疾患のために外出することが出来なくなった作者さまが、「三年かけて独りでバスに乗れる」ところまで回復していった過程を記録したものです。

「バスに乗って外出する」――健康であれば、小学生でも出来る行為。それどころか、歩いて近所のコンビニへ行く、買い物をするといったことすら出来なくなる疾患に、ある日突然、襲われる。
……容易には想像できない事態ですね。それが、麻痺や皮膚疾患のように、外見から容易には解らないものならば、なおさら。

症状はもちろんのこと、ご自身の焦り、周囲の無理解、主治医や仲間たちの励まし、一進一退を繰り返す病状などが、淡々と克明につづられていて、大変分かり易かったです。
同じ病気と闘っている人々、家族や友人が病気の人々への、理解と励ましになると思います。

作者さまが目標を達成されたとき、拝読していたこちらも、安堵させて頂きました。
これからも、作者さまとご両親が、穏やかな日々を送られることを、お祈りいたします。

★★★ Excellent!!!

闘病日記や体験談を綴った書き物には2種類あると思っています。

一つは『自分を解って欲しい』『こんな苦労をしているんだよ』と、直球で自分の置かれている状況を切々と訴える物。

二つ目は『読み手がもし同じ状態になった時の道しるべ』である物。
本エッセイはあきらかに二つ目で、その俯瞰的な物の見方や自分だけではなく周囲にも配慮した書き方が秀逸で、最後まで読みたいと思いました。
(読了後、読んで良かったと思える内容でした)

正直に言えば、エッセイで心を揺さぶられたのは初めてです。
他人からすれば、どうという事もない出来事が自分にとっては大問題だという経験は少なからず私にもあり、もし私が書くとしたら切々と痛みを訴えるだけの物になり、おのずと共感や理解を求めてしまうと思います。

しかし本作品の趣旨は、表面的な共感や理解ではありません。
それはそうですよね。もし共感者が多いという事は、この世界にどれだけ沢山の心的病(やまい)が蔓延しているのか? という事になりかねませんから。

多分作者様は、これを読んだ方からの応援や頑張ってという声を求めて書いていないのだと思います。

もっと深慮して綴られたに違いない。

それはしっかりとした文法と、順序を幾ばくか入れ替えた構成を見ても察しがつきます。

では何故? と私なりに考えた所、やはり道しるべであり、それと同時に作者様のコミュニケーション方法なのだと思いました。

とても良い読書時間を過ごさせていただきました。
本当に感謝致します。

★★★ Excellent!!!

 人は誰でも、諦めたくないものを持っているのではないでしょうか?小生も今、バスに乗ることができません。そして唯一の足である電車にも、長く乗っていることができません。せいぜい15分くらいです。でも、この作品を読んで、一人ではないことに気が付かされました。とても共感を覚えます。この作品は多くの人々の共感を得ることができる作品だと、小生は思います。小生も書くことや読むことが諦めきれずに、今こうして読んだり書いたりしています。こう言った障害や病気を持った方々の努力を見るたびに、小生も背中を押されているのです。
 自分の体験を話すことは、とても勇気がある行動だと思います。この作品のおかげで、勇気を分けてもらっている方は多いと思います。小生も、いつか今の状況を脱出できたらな、と思わせてくれた一作です。
 何かを諦めそうになったら、是非この作品を御一読ください。