上記

 上記ウエツフミとは、1837年(天保8年)に豊後国(現在の大分県)で発見されたもので『上紀』、『上津文』、『上つ文』、『ウエツフミ』とも書き、『大友文献』、『大友文書』などとも言います。神代文字の一種である豊国文字で記されていいます。


『上記』の序文には、1223年(貞応2年)に源頼朝の落胤とも伝えられている豊後国守護の大友能直が、『新はりの記』や『高千穂宮司家文』等の古文書をもとに編纂したとありますが、一般的には史実とはみなされていません。


 内容は、今までに紹介した竹内文書と同様のウガヤフキアエズ王朝に始まる神武天皇以前の歴史や、天文学、暦学、医学、農業・漁業・冶金等の産業技術、民話、民俗等についての記事を含む博物誌的なものです。


 例えば『上記』によると、神武天皇はウガヤフキアエズ王朝の第73代であり、中国に農業や文字を伝えたのは日本であり、日本では精密な独自の太陽暦があったことなどが記されています。


 内容的に言えば他の古史古伝と似た感じですが、上記らしい特徴としては大分が中心に書かれている事、外国からの侵略の歴史が書かれている事でしょうか?


 上記の研究者によれば書かれている内容は事実であり、フキアエズ王朝も実在したと言います。大分県やその他の場所に痕跡があるとの事。物的証拠があると言うのは強いですよね。後、文書の膨大さからもとても偽書でこれは作れないとも。


 そもそも記紀そのものが上記を元にして編纂されたとまで主張していて、記事を読むと確かにそういう部分もあったのだろうなあと思わせます。それほどまでに内容に信頼性が高いのですね。


 古史古伝は滅ぼされた側の歴史書である場合が多く、上記はフキアエズ朝側の歴史書と言っていいものです。普通に考えて、そこまで強力だった王朝が何故滅びねばならなかったのか等、色々と考えてしまいますね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る