フラッグシップクラス
「うん、せっかく条件揃ったからね。それに興味のある分野だし、とことんやろうと思って」
「えーと、確か錬金と……あれ、薬草学もだったかしら?」
ニーナは去年の進級通知書を思い出しながら、指折り数えて確認している。
錬金術は、鉱石(金属含む)、宝石、調合の三つ全部を、Ⅵまで上げることでその上の特別クラス、クラフトコースへ進むことが出来る。これは去年の時点で一応、進級だけはしている。
また調合のⅥを修了することで、薬草学科Ⅵと合わせて、薬剤師養成科へと進むことも出来るので、今年度からはそちらも加えて、いよいよ本格始動しようというわけである。教養科も終わったことだしね。
これらの学科は、通称フラッグシップクラスと呼ばれ、特別なコースとなる。
小さいながら、研究、実験が出来る個室が貰えることもあり、希望者は在校生から助手を数名置くこともできる。助手に選ばれた者も、トップクラスの研究に携われることに加え、成績にも加味されるのでかなりメリットがある。
「むしろ、こちらからお願いしたいわ。私は錬金、まだまだ下のクラスだし」
単位取得のために提出するレポートや課題がいくつか免除されたり、所属する研究室がなにか大きな成果を挙げれば、その一員として評価をうけることもあるのだ。
「よかった。これから冒険者としていろいろクエストもしたいし、そうなると一緒の時間が多いのは有利だからね」
クラフトと薬剤師養成へ進むことで、かなり科目数は減った。もちろん、密度的には増えたけれど。
あとは、魔法学科をランクダウンして、魔法科総合クラスへと移った。これは、攻撃魔、回復魔の二つを基本のⅢまで取ると、移動できる科である。
言い方は悪いが落ちこぼれコースである。
ずば抜けた攻撃魔法や回復魔法を身に付けられなかったものが、巻物や、魔法道具を使用することで、使える魔法を増やしたり、強化したりする技術を学ぶ科だ。
加えて、あまり魔力や属性がなくても使える補助魔法を習得したりもする。いや、でも補助魔法は馬鹿にしちゃだめだよね。僕はむしろそっちを強化したくて、移って来たんだし。
……負け惜しみじゃないよ、ホントだからね。
ちなみに、魔法科のエリートコースは攻撃魔、回復魔の二つをⅥ以上修了することで昇級できる魔術科である。そもそも攻守可能な属性を持っていなければ進めない特殊な学科である。もちろん、攻撃に特化した科などもあるが、僕にはまったく関係ないので割愛する。
「ニーナは? 僕の助手ばっかりじゃ悪いから、なにか手伝えることある?」
「うーん、武術科は対象が剣術だけだしね。あとは魔法研究科なんだけど、それはお互いに同じチームだし……そもそも、あの科はフラッグシップクラスへの昇級がすごく難しいのよね」
「僕も呪文魔法が使えないからアウトだし、魔法陣も特殊過ぎて評価されないからね」
「それよね。リュシアンの生活魔法の魔法陣は、本来なら十分資格あると思うんだけど。誰にも写生できないのが、本当に悔やまれるわね」
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